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第2章 榎本家攻略? 2

リビングには姉ちゃんと紗里がいて、宴を開いていた。姉ちゃんはお気に入りの日本酒、紗里はオレンジジュースを手にギャーギャー騒いでいる。 「やっぱりね〜、あれは王子様タイプの人種じゃないわ。絶対腹に一物抱えてると思うのよね」 「ヤンデレですか!ヤンデレということなのですか!」 「いや、ヤンデレではないわね。毒舌で俺様なのに受のこと溺愛しちゃうタイプよ。確かに受のことは檻に閉じ込めたいくらい独占欲は強いだろうけど、相手も尊重してあげるのよ」 「スパダリ…?クーデレ希望でつ…」 「クーデレの可能性高いわね、期待。トウヤと出会わなかったら、このまま成長してスーパー攻様にでもなってそうな人種だったわね…自殺するならお前の命を貰うって言わせたかったわ…」 「社長!高級車!!マンション最上階!!!」 「お前らうるせーよ」 何意味わかんねぇこと言ってんだ。夜遅くに騒いで近所迷惑だろうが。 この2人が揃ったらもう誰にも止められない。姉ちゃんのマシンガントークを紗里がさらに加速させるもんだから、うるさくてたまらない。 「あらトウヤ、起きたの。もう大丈夫なわけ?」 「あぁ、かなりマシになった」 「愛の力でお兄ちゃん大復活!兄上様のキッスが効いたとい…もごご」 興奮したように喋り出した紗里の口を姉ちゃんが凄い勢いで塞いだ。どれだけ力込めてんのか知らねーけど、涙目なってんぞ。 「次余計なこと言ったらブッ殺すぞ」 物騒な台詞を吐いた姉ちゃんにガクンガクン頷いた紗里は、漸く手を離してもらえた。肩を上下させて全力で息を吸っている。 やっぱ姉ちゃんは怖ぇな…この家で一番逆らってはいけない人種だと思う。 「も〜妹に向かって酷いこと言わないの〜!次ブッ殺すとか言ったらお母さんが那嘉音ちゃんのことブッ殺すからね〜!」 その姉ちゃんに向かってこんな恐ろしいことを言える母さんもかなりヤバイと思う。てかお前も使ってんじゃねぇか。 母さんが作ってくれたうどんを啜っていると、ニヤけ顔で姉ちゃんがこっちを見てきた。 「何エロ親父みたいな顔してんだよ」 「こんな美しいお姉様に向かって失礼ね。エロエロお姉様って言いなさいよ」 「変態すぎて気色悪ぃ…エロ増やすなよ」 「で、柳楽君とはいつから仲良いの?」 「ほんと最近だよ。たまたま屋上で飯食ってたら、柳楽が来て。そっから一緒に昼食ってる」 「へぇ〜。屋上立ち入り禁止じゃなかったっけ?」 「ああ、この前鍵落ちてんの見つけたんだよ。柳楽は何で入れんのか知らねーけど。他のやつ入ってこれないから、避難場所にしてるらしい」 「避難?」 「あいついっつも女子に追いかけ回されてんだよ。人気者も大変だよな」 「ほぉ〜ん?じゃああんたとの昼休みの屋上が安息の地ってわけね…ヌフ」 「その不細工な笑い方何とかなんねぇの?」 美人のくせに勿体無い。見た目よりも10歳は若く見える父さんと母さんのの血を受け継いで、姉ちゃんも紗里も見た目だけは上の上だ。 それなのにこの笑い方。マジでエロ親父みたいで、見てるこっちが寒くなる。遺伝なのかなんなのか、紗里もしょっちゅうこの笑い方をする。 宝の持ち腐れとはまさにこのことだ。

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