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第3章 関係の変化 4
「…はぁ」
何やってんだよ。榎本のこと責め立てるようなこと言って…別に俺たち付き合ってるわけでもねぇのに。
壁に背を凭れさせて、ズルズルと床に座り込んだ。
いくら俺が榎本のことをそういう意味で好きだとしても、ただのクラスメイトなんだからあんなこと言う権利なんてない。
そんなこと分かってんのに抑えられなかった。
本当にあの中に好みの女でもいたのだろうか。
榎本とそういう話はしたことがないから全く分からない。
「はぁ…」
弁当うまかったな。
もう一度深い溜息が溢れた。
5限が終わるチャイムを聞いて教室へ戻ると、さっきの3人が榎本に群がっていた。
榎本はあまり居心地が良さそうには見えないものの、無視したりはしていない。
ぼーっとその光景を眺めていると、クラスの女2人組が話しかけてきた。
どいつもこいつも派手な格好してんな。
さっきの3人組がクラス、というか学年でも1番目立つグループで、この2人もまあまあ騒がしい方だ。
さっきの奴らみたいなのが好きなら、この2人も好みなんかな〜…クラスに敵多すぎだろ。
「ねぇ、遊衣〜。今週末暇ぁ?」
「土曜なら空いてるよ。どした?」
「やったぁ!じゃあデートしよぉ!」
「ん〜、いいよ。3人で?」
「それも捨てがたいっ!けど榎本くん誘おうよ〜」
コイツらもかよ。思わず表情が崩れそうになる。めんどくせぇ…。
ていうか、今のこの気まずい状態で遊びに誘うとか無理だろ。
「あ〜…榎本くん、そういうの来なさそうじゃない?」
「そんなの誘ってみなきゃ分かんないって!ほら、行こ〜!」
グイグイと腕を引っ張られて、表の顔でそれを振り払うわけにもいかず、榎本の机の前まで連れて来られてしまった。
「ねぇ、榎本くん!今週の土曜何してる?」
榎本は一瞬俺にチラリと視線を向けて、すぐに視線を女の方へ逸らした。
どうせ俺がいるなら断るだろうから、こちらから何か言うまでもないか。
自分たちが話していたのに、と怪訝そうな顔をしながらも、先程の3人も黙って様子を伺っている。
「…特に何も」
「わ〜!良かったら一緒に遊ばない?遊衣と私たち2人と、榎本くんでっ!」
俺の名前が出ると、ほんの少し眉を歪めて考えるように視線を落とした。
何も言わず考え込んでいるようで、女達が説得し始める。
「ダメかなぁ?私たちも榎本くんと仲良くなりたいと思ったんだけど…」
「遊衣もいるし、絶対楽しいよぉ!」
申し訳ないけどその俺が1番ネックなんだよ。心の中で自虐的な笑いが漏れる。
すると、榎本の周りに群がっていた先程の3人が何やら横槍を挟み始めた。
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