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第3章 関係の変化 5

「榎本くん嫌がってんじゃん〜」 「ていうか、遊衣と榎本くん相手にあんたらってやばくない?レベルの差が」 「身の程弁えなって〜」 2人を蔑むような発言に、一気に雰囲気が悪くなる。 「は?そんなこと言わなくてもいいじゃん」 「ちょっと酷くない?」 「いや〜だって釣り合わないでしょ。自分の顔も立場も考えた方がいいと思うな〜」 「榎本くんも遊衣も優しいからって気遣ってくれてんのに」 「ちょっと3人とも…」 バン!! 面倒な女子の争いが始まり仲裁に入ろうとした時、榎本が机をぶっ叩いた。派手な音が教室中に響き、クラスが静まる。 「うるせぇよ」 暴言を吐いた3人を鋭い目で睨み付け、地を這うような低い声でそう言った。 あまりのオーラに圧倒されて、誰も何も言えないようだ。その目と声を向けられた3人は、驚きと恐怖で固まっていた。 「お前らこそ自分の性格考え直した方がいいんじゃねぇの?」 「あ…」 震えて何も言わない3人に呆れたように溜息をついた榎本は、誘いをかけてきた2人に向き直った。 「俺は別に嫌がってたわけじゃねぇから。土曜昼からなら空いてる」 「…あ、えっと、ほんとう?!」 「あ、ありがとう!」 「また何か決まったら教えて」 「う、うん!わかった!」 「…じゃあ、今日俺帰るから」 シーンとした教室を榎本はスタスタと歩いて出て行った。 え〜…ここで出て行くのかよ…。俺が1番面倒な立場じゃねぇか。 榎本を盛大に罵ってやりたかったが、今はこの場をどうにかしなければならない。 「ごめんね〜、変な空気にしちゃって。お騒がせしました」 まずはクラス全体に苦笑いで謝った。周りも苦笑いしながら「女こえ〜」なんて言ってざわつきを取り戻した。 「真央と日菜もごめんね。嫌な思いさせて。大丈夫?」 「大丈夫!遊衣が悪いわけじゃないよぉ」 「これくらいどうってことないよ〜!」 「ありがと。2人とも可愛いから、やっかみ多くて大変だよね。ほら、3人も謝って」 「…すいませんでした〜」 「ごめ〜ん」 「ごめんねぇ」 全く反省していないのが丸わかりな謝罪だったが、3人はそのまま鞄を持って出て行ってしまった。 …ほんとしょうもないな。 2人はそいつらの態度を大して気にしていないらしく、ケロッとした顔で笑っている。 「ていうか、榎本くんに庇って貰って、遊衣に心配してもらって、むしろ有難いよねぇ?」 「うんうんっ、まじヤバかった〜!超格好良かった!好きになっちゃいそう〜!」 …また榎本のファンが増えたじゃねーか、どうしてくれんだ。 土曜までには榎本との関係を良くしておきたいのだが、明日から3日間家の用事で俺は学校に来ることができない。 そして今週の金曜は祝日なので、もう土曜までに榎本と会うことができないのだ。 あー、もう色々面倒臭ぇ…。 とりあえずそのことを真央と日菜に伝え、何をするかは任せるから決まったら連絡するように頼んだ。

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