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第3章 関係の変化 2
「なんで昼アイツらも一緒で良いとか言ったの」
「それは…」
柳楽が女子に良い顔してるから、ムカついたんだ。
俺が嫌がるからっていう理由で断ろうとして、もしかして本当は俺との昼休みに飽きてきたのかなって思って…。
だからって、俺抜きで女子と仲良くするって考えるとモヤモヤして…。
女々しい考えばっか浮かんできて、頭が痛くなる。俺ってこんなに気色悪かったのか…。
…ていうかそもそも、俺が責められる理由ある?嫌だったら最初から自分が断ればよかったじゃねーか。
頭の中ではゴチャゴチャと考えが交差するのに、何1つ言葉は出てこなかった。
「俺の目ェ見ろよ」
「…」
ビクリ、体が揺れた。
冷たい声。
従わなければいけない。そう感じさせる柳楽の雰囲気に、ゆっくりと顔を向ける。
「言えない?理由」
「……言いたくない」
本音を言ったら絶対気持ち悪がられるに決まってる。自分でも鳥肌立つくらいなのに。
「あんなクソ女達に話しかけられて嬉しかったとか?」
「…別にそんなんじゃない」
クソ女って、相変わらず口が悪いな。むしろ話しかけられて嬉しかったのは柳楽の方じゃねぇの?
「榎本も男だもんな、ああいうビッチっぽいのが好きなんだ?」
「だから、そういうんじゃ」
榎本も、ってことは柳楽はああいう子が好みってことかよ。
「どの女がタイプなんだよ。お前だったらすぐヤれんだろ」
「…柳楽」
なんでこんな話になっているのかはよく分からないけど、エスカレートして行き過ぎているのは分かる。
もう、こんな話はやめてほしかった。
「あーでもごめん、もしかしたらあの3人のうち誰かと寝たことあるかも。あんま覚えてなくて悪いけど」
最低だ
そう思ったら、口より先に手が出ていた。柳楽の顔を思い切りぶっ叩いてしまった。
シンとした人気のない廊下に大きな音が響き渡る。
だけど、俺は悪いことをしたなんて思わない。
だから、そのまま何も喋らず教室へ戻った。
遅れて出た授業の間も、睨んだ時に見えた、頰が赤くなった柳楽の顔が頭から離れなかった。
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