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第3章 関係の変化 3

5限が終わると、一緒に昼ご飯を食べた3人が話しかけてきた。 お前らの目的は柳楽だろうが。んで、俺のこと怖がってたんじゃないのか? 正直、柳楽とのことで機嫌が悪いのであまり周りで騒がないでほしい。 特に中身の無い会話に耳を傾ける気にもならず、適当に相槌を打っていると、柳楽が教室に入ってくるのが見えた。 結局5限サボってたな。…あいつ以外とサボリ魔だ。 かなり気まずい状態なので、もう今日は話すことはないと思ってたんだけど…何故か女子を2人連れて…というか柳楽が連れられて?こちらに向かってくる。 「ねぇ、榎本くん!今週の土曜何してる?」 さっきの今でどういう了見なのだろう。チラリと向けた視線に柳楽は特に反応を示さなかった。 「…特に何も」 「わ〜!良かったら一緒に遊ばない?遊衣と私たち2人と、榎本くんでっ!」 また俺が巻き込まれんのかよ…。 しかも柳楽とこんな状態のまま遊びに出かけるって、どんな拷問だ。 でもここで断ったら、俺を抜いた3人で出かけるのか。 昼休みの件と同じような考えを頭がぐるぐる回る。 でもOKしても、さっきみたいに柳楽のこと怒らせるのかな。 「ダメかなぁ?私たちも榎本くんと仲良くなりたいと思ったんだけど…」 「遊衣もいるし、絶対楽しいよぉ!」 返事を悩んでいると、先程の3人が何か騒ぎ始めた。 「榎本くん嫌がってんじゃん〜」 「ていうか、遊衣と榎本くん相手にあんたらってやばくない?レベルの差が」 幼稚な悪口に、一気に場の雰囲気が悪くなる。 ていうか何のレベルだよ。柳楽と並ぶ2人を見ても、お似合いとしか感じない。 お洒落に拘っているのだろう、丁寧に施されたメイクや綺麗に整えられた髪は、いかにも女の子って感じで…。 柳楽の隣は、こんな風に可愛い子が立つところなんだ。 目付きが悪くてしょっちゅう傷を作ってる俺なんかじゃなくて…。 「身の程弁えなって〜」 そうだよ、身の程を……って、え?俺…今…? 「は?そんなこと言わなくてもいいじゃん」 「ちょっと酷くない?」 「いや〜だって釣り合わないでしょ。自分の顔も立場も考えた方がいいと思うな〜」 「榎本くんも遊衣も優しいからって気遣ってくれてんのに」 バン!! 「うるせぇよ」 イラつきが抑えられずに、机をぶっ叩いてしまった。 何事かと周りも静まり返りこちらに注目していて、視線がヒシヒシと体に刺さる。 「お前らこそ自分の性格考え直した方がいいんじゃねぇの?」 「あ…」 つい睨んでしまった3人は震えていて、何も言い返してこなかった。 暫く沈黙が続き、注目され続けるのにも耐えられなくなって、思わず溜息が出る。 「俺は別に嫌がってたわけじゃねぇから。土曜昼からなら空いてる」 「…あ、えっと、ほんとう?!」 「あ、ありがとう!」 「また何か決まったら教えて」 「う、うん!わかった!」 「…じゃあ、今日俺帰るから」 サッサと会話を終わらせて、教室を出た。これ以上あの空間にいるのは辛かった。 だって、気付いてしまったのだ。 あの3人の言葉で、自分の柳楽に対する気持ちに。

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