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第4章 酒に飲まれろ 3
ーーーピーンポーン
「はっっ!お迎えに行ってまいります姉上様!」
「頼んだわよぉ〜ヒック」
「誰かくんの〜?紗里の友達ぃ?」
「クソバカでド軟派野郎の柳楽くんですけど」
「ひっ」
ピキピキと青筋を立てて魔王のような笑みを浮かべた柳楽が登場した。
え、なんで?なんでこいつがここにいんの…?ていうか今の聞かれてた?!ヤバい、ヤバいって…!!
「あ〜キンタマ小さい男が来たぁ〜」
「は?」
「だから姉ちゃん!柳楽は絶対デカイってぇ〜」
「…」
…あ、ヤバい、酔っ払い過ぎて柳楽がいるのに変な話をしてしまった…絶対怒ってるじゃん…。
「…で、話って?」
「え、俺〜…?話って…何、もしかしてテレパシ〜?!」
さっき考えてたことが柳楽に通じちゃったとか?!
話したいとか謝りたいとか…え、待てそしたらヤバいって、俺の気持ち伝わっちゃって…?!
「アホか、さっきお前の姉ちゃんが電話かけてきたんたろうが」
「感謝するがよいぞ〜ヒック…ほれほれ、さっさと二階に上がった上がったぁ」
「え…もしかして俺がトイレ行ってる間に、勝手にスマホ…?ヒック」
「このお姉様にかかれば貴様のパスコードなんぞ昨日の夕飯のように思い出せるわぁ!」
コイツ!何勝手なことしてくれてんだよ…。
予想外の事態に少し頭が冷めてきた。とは言えまだフラフラなんだけど。
…でも、もうこうなってしまった以上柳楽と話をするしかないか。
腹を括って立ち上がった。
「トウヤぁ、ちょっと冷静になってきてるだろ〜…そんなんじゃ本音で語れん!ほれ、この最後の一杯飲み干していきな!カンパイ〜ヒック」
俺の手に無理矢理グラスを持たせ、自分のグラスとぶつけた後姉ちゃんもゴクゴク飲み始めた。
きっとこの時の俺は酒のせいでおかしくなっていたと思う。
普段なら絶対に冷静なまま話をしたいと思うはずなんだけど…手にしたグラスの中身を息継ぎもせずに飲み干した。
「ちょっ…姉上ぇ!これ芋!芋ロックですけどぉ?!あ、兄上様これ持ってってくださいお水!」
「…はぁ。ありがと。ほら、お前の部屋行くぞ」
「んん〜…ヒック」
柳楽に腕を取られて、元々暑かったのにさらに体温が上昇したような気がした。
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