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第1章 噂の2人 2

ウトウトしながらもノートをとっていると、あっという間に午前の授業は終わった。 母さんがいつも弁当を作ってくれるから昼飯には困ってねぇんだけど、今日は無性にコーラが飲みたい。 定位置である屋上に行く前に食堂にある自販機に向かった。 「柳楽くん、今日は一緒にお昼食べてくれる〜?」 「ごめんね、今日は友達と先約があるから」 「この前もそれだったじゃんっ!じゃあ私達もそこに混ざりたいなぁ」 「女の子もいた方が楽しいって!」 「彼、人見知りなんだ」 「「「えぇ〜」」 食堂に着くと、柳楽が5人の女子に囲まれていた。 これまた面倒なのに絡まれてんな、おい。 断られたんだから色々と察しろよ一回で。 断られ続けてんのに延々と粘るこの女達は脳みそ付いてんのか? お前らがいた方が楽しかったら最初からオーケーしてんだろ。 しつこい奴にも笑顔で優しく対応している柳楽が神に見えた。 さすがに俺も女に手は上げないけど、怒鳴るくらいはするだろうな、この状況だと。 無視するのも有りなんだぞ柳楽。 だが、柳楽が王子様と呼ばれる所以の一つである性格の良さと品の良いチャラさは紛うことなく本物だったらしい。 「一緒に食べてくれないんだったら、柳楽くんの噂話しちゃうからね〜!」 いつでもどこでも柳楽の話ばっかしてるくせに何言ってんだっつーの。 「有紗たちみたいな可愛い子に噂されるなら悪い気しないな」 「も〜!誤魔化されないんだからっ!」 「誤魔化してなんかないよ。今度は一緒にお昼食べるから、どんな噂してたのか聞かせてね?」 「恥ずかしいから言わないし!」 恥ずかしいから言わないとか、どんな噂してるかその言葉で殆どバレてんじゃねーか。 頰を紅潮させた女とは反対に柳楽は爽やかな笑みを浮かべていた。 お前はアイドルかっつうの。 神対応すぎて握手会で有名な某アイドルもビックリだわ。 そんなアホくさいとも言える光景を尻目に、サッサとコーラを買って屋上に向かった。 扉を開けると冷たい風が吹き付けた。 季節は秋で少々肌寒いが、貯水タンクの上が気に入っていて、ここで昼休みを過ごすのが日課だ。 本来屋上は立ち入り禁止なんだけど、1ヶ月前に何故か鍵が落ちているのを旧校舎で発見して、それからはその鍵を使わせてもらっている。 だから今まで他の誰にもここで会ったことねぇし、学校で俺が安らげる唯一の場所なんだよな。

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