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第11話
その頃紫都李と兎黒は洞窟を探索し終えていた
紫都李「なんにも無かったですね…。」
兎黒「あぁ。うん。」
残念そうに洞窟から出てきた2人。ふと、紫都李が空を見上げる
紫都李「わぁっ!」
兎黒「ん?どうし...!!」
兎黒も釣られるように空を見る
そこにはいつも街の光でかき消されていて見えない美しい自然の輝きが空を覆っていた
紫都李「綺麗...宝石みたい。」
兎黒「うん。スゲーね。」
うっとりと星の輝きを見ているとふと、兎黒は思い出したかのように声を上げる
兎黒「あぁ!?」
ビックリした紫都李は兎黒を睨む
紫都李「ビックリしたじゃないですか!」
兎黒「やばい!ご飯、緑心くんに押し付けたままだ!」
紫都李「えぇ!?なんでそんな大切なこと忘れてたんですか!」
2人は騒がしく静かな砂浜へ向かって走りだすが、少し湿った岩肌で紫都李は足を滑らせる
紫都李「!?」
兎黒「紫都李!」
兎黒はスグに手を伸ばすが紫都李には届かず少し荒れた海の中へ落ちていく
兎黒「クソッ!!」
咄嗟に兎黒は上着を脱ぎ捨て海へ飛び込んだ
-緑心sideー
黄泉はパッと顔を上げる
黄泉「ねぇ、何か聞こえたよ。」
黄泉は緑心に声をかける
緑心「え?一体何が...」
黄泉は首を振る
黄泉「分からないけど...男の人の叫び声。あっちから。」
黄泉は崖の方を指差す
緑心「...なんでしょうね。でもこの辺、人は通らな...。」
緑心はふと、兎黒と紫都李を思い出す
緑心「もしかして、あの2人...!」
居ても立ってもいられず、崖の方へ走り出す
黄泉「あ、緑心...」
仕方なく黄泉も立ち上がり緑心を追いかける
緑心「兎黒さん!紫都李くん!...うっ。」
2人に何かあったらと考える緑心
だが、突然猛烈な吐き気と頭痛に緑心は蹲る
緑心「うぅっ...おぇっ...はぁ。はぁ。」
緑心の呼吸が荒くなる
黄泉「緑心?...どうしたの?」
緑心の後ろを負っていた黄泉は緑心の横にしゃがみ背中をさする
黄泉「おれ、こういう時どうしたらいいか分からない。ごめん。」
緑心「はぁ...す、すみまっ...せんっ。おぇっ。すぐに...ますからっ...うっ...2人をっ...。」
嗚咽が酷くなる中、崖の方を指さす緑心
黄泉は緑心が指さした方を見る
黄泉「あっちに...誰かいるの?でも、緑心は?...どうするの?」
緑心「だい...じょ...ぶ...す。だからっ、おねがっ...ますっ...。」
吐き気と目眩が伴う中、途切れ途切れの言葉で黄泉に訴える
黄泉は頷く
黄泉「うん、分かったよ。だからね、キミは寝てるといいよ」
その言葉と同時に黄泉は緑心の喉元を絞める
緑心「うっ...あぁっ...。」
すると緑心は気絶し体の力が抜け黄泉の方へと倒れ込む
黄泉「ごめんね。でもね、こうでもしないと君は無理をしそうだから。」
緑心をその場に寝かせ黄泉は崖の方へと走る
〜11話end〜
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