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第12話

紫都李「(ーーあぁ。何も見えない。何も聞こえない。真っ暗だ。目が開かない。まるで...あの頃と同じだ...。)」 紫都李は海の底へ沈む 紫都李「(きっとまた、一人ぼっちに...)」 手を伸ばすでも水面の光には手は届かずただ、沈むだけ ーー僕は421号。実験体だ。 どこで生まれたのかも誰が産んだのかも名前も分からない。 生きている理由も何も分からない。 年齢も... 毎日の様に行われる実験の実験台、ただそれだけの意味を成す。 大人達はいう。 ココにいる子供達はこれからこの国の未来のために犠牲になるんだと。 どうやら僕もその子供達の中にいるらしい 僕と同じ実験体の子達は毎日どこかへ連れていかれる 中にはもう何日も何年も帰ってこない子だっている この前少し大人達が話しているのが聞こえた。 『実験は失敗した。あいつは死んだよ。』 死んだ。その言葉が苦しかった。怖かった。 夜になると僕より少し大きい子達は実験以外のことをされているらしい。 それのせいでおかしくなる子もいた。 でもその子達は『気持ちいい』と言っていた。 どういうものなのか。 そこまでは教えてくれなかった 僕も大きくなったらそれをするのだろうか。 『気持ちいい』。 その感情は知らない。 僕が知っているのは『痛い』『怖い』『苦しい』『辛い』これらの感情だけだった。 どれも嫌いな感情でその『気持ちいい』という感情がどんなものなのか。 僕もあの子達みたいにおかしくなってしまうのだろうかと思うと 分からない。 だから僕は怖いんだ。 〜12話end〜

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