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第16話

緑心「(苦しい。息ができない。)」 呼吸をするのも精一杯の中、静かな海に緑心の息遣いだけが響く 緑心「ふたり...ともっ...大丈夫、かな...」 そんなことを考えていると浜辺の奥から足音が聞こえる そちらに目をやると兎黒に背負われている紫都李と兎黒と黄泉が走ってくる 紫都李「緑心さーん!」 兎黒「大丈夫?緑心クン」 黄泉「緑心、生きてた。」 ぎょっとしたように黄泉を見る紫都李と兎黒 その姿を見た緑心は少し安心したように笑う 緑心「良かった...2人とも...無事で。」 兎黒は呆れたように笑う 兎黒「いやね、緑心クンが今大丈夫じゃないでしょ。」 緑心「大丈夫、いつもの事...だから...。」 紫都李と兎黒は驚いたように顔を見合わせる 紫都李「いつもって...。いつも、こんなに苦しんでるんですか?」 続けるように兎黒が喋る 兎黒「昨日もか?その前もか?何で俺達を呼ばないんだ?」 少し怒ったように兎黒はいう 緑心「迷惑、かけたくないから...さ。」 紫都李は頭をかくと立ち上がる 紫都李「そんなの、迷惑だなんて少しも思いませんよ!むしろ言ってくれない方がこっちは辛いです!」 大声で緑心に訴える紫都李 その言葉に緑心の呼吸は少しずつ落ち着いていく 緑心「そっか、ごめんね...。」 すると横から黄泉が緑心の肩を叩く 黄泉「ねぇ、何かいる?必要なものとか。」 緑心「あ、そうだね...じゃぁ、四季から薬取ってきてもられるかな?袋のやつ。」 紫都李「分かりました!」 一番に走り出した紫都李を追うように兎黒も紫都李を追う 黄泉「ねぇ、緑心。」 緑心「ん?」 黄泉「僕もココ、入りたい。」 その言葉に緑心は首を傾げる 黄泉「ここの仲間になりたい。お金ないけど...」 緑心「はぁ、僕はそのつもりでしたけど...。」 黄泉はその言葉に少しだけ笑う 黄泉「そっか、ありがとう。」 緑心「いいえ!勝手に僕が決めてただけなので...」 緑心は少し照れくさそうに頬をかく 紫都李「緑心さーん!持ってきましたー!これ飲んだらバーベキュー再開しましょう!」 走りながら叫ぶ紫都李とゆっくり歩いてくる兎黒に手を振りながら黄泉と笑い合う緑心 緑心「ようこそ、黄泉さん。四季荘園へ!」 黄泉「うん、よろしくね。緑心。」 その日普段静かな浜辺には4人の楽しそうな笑い声が響き渡った。 〜16話end〜

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