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第27話
兎黒「...青灑サーン?生きてるぅ?」
兎黒は青灑の顔の前で手を振る
青灑はゆっくり目を開く
青灑「ん、生きてるよ。」
気づいたら寝ていたようだ
兎黒「ははは!そりゃぁ死んでたらビックリしちゃう〜」
兎黒は大口を開き笑う
黄泉「...緑心遅い。」
青灑「今何時かな?」
兎黒は腕時計を確認する
兎黒「んー、もー18時...」
黄泉は外を見るそれに釣られるように青灑も外を見る
外は大雨で霧がかかっていた
青灑「大丈夫かな、緑心くん。」
兎黒「うーん...。」
3人に沈黙が走る。するとリビングの扉が開く
紫都李「...何ですか。」
皆で紫都李を見ていると青灑が立ち上がる
青灑「紫都李くん。話は黄泉くんから聞いたんだけどさ、まぁ...俺のせいってのはよく分かったよ」
紫都李は青灑を睨みつける
紫都李「だったら?俺はアンタが緑心さんに手を出したことにキレてんだけど。あの人がアンタをここに置こうが追い出そうがどうでもいい。」
黄泉「紫都李...。」
青灑は頷く
青灑「あの時は申し訳なかった。もう手は出さないからさ。」
そう紫都李に笑いかける
紫都李「気に食わない。」
青灑「...え?」
紫都李「アンタのその顔が気に食わないんだよ!」
紫都李は青灑の胸ぐらを掴む
兎黒「ちょ、紫都李クン...!?」
黄泉「僕も...そのわざとらしい笑顔キライ。」
兎黒「...え、黄泉クンまで!?...あー、でも俺も思ったかも。青灑サン笑顔作ってるよね?」
青灑は皆の言葉に下唇を噛む
青灑「...くない...。」
兎黒「...?青灑サン?」
気づけば青灑は心のないような冷たい目をしていた
青灑「あぁ。萎えちゃった。面白くないな。せっかく君らのこと考えてニコニコしてたのに...君のせいで台無しさ...ねぇ?紫都李くん?」
紫都李は青灑の豹変ぶりに掴んでいた手を離し退く
すると青灑は紫都李の近くの椅子に座り水を1口飲む
黄泉「青灑。それが本性?」
青灑は口を開いた黄泉の方を向く
青灑「いいや?本性はどっちも。前の俺も今の俺も、どっちも俺の本性だよ?」
兎黒「二重人格...。ってこと?」
青灑「そ、普通に笑える俺も今の俺も両方俺、つまり二重人格ってこと。」
兎黒「青灑サンさぁ、今の自分、鏡で見たらどう?すっごい犯罪者っぽい目してるよぉ?」
兎黒は軽い口調で青灑に話しかける
青灑「兎黒くんは誰よりも鋭いね。君みたいなの嫌いじゃないよ?殺してしまうのは惜しいくらいに。」
兎黒「そりゃぁどーも。」
笑顔で会話をする2人はまるで何かの取引をしているようにも見える
黄泉「...兎黒。」
兎黒「ん?」
黄泉「...紫都李が動かない。」
紫都李の方を見ると少しも動かず顔が真っ青になっていた
兎黒「紫都李クン...?ぁ...。」
兎黒は体を傾けると青灑が紫都李の背後にナイフの先を突きつけていた
兎黒「おいおい...まじでぇ。」
今まで焦りを見せなかった兎黒がいよいよ不味いと言わんばかりに表情を歪ませた
黄泉「...兎黒?」
兎黒「あの人、ナイフを紫都李クンに...」
小声で黄泉に今の状況を説明する
黄泉「紫都李...!」
青灑「あぁ、やっと気づいたんだ?」
2人の表情を楽しむように覗き込む。
そして部屋に緊張が走る中玄関のドアが開く音がする。
〜27話end〜
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