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第32話

午後6時兎黒は足早に家へ向かう 兎黒「ふぇ〜。遅くなっちゃったぁ〜。」 ーガサッー 暗くなった森の中、兎黒は草音が聞こえた方を向く そこからは唸り声のような少し苦しそうな声が聞こえてくる ?「ウガァ!ウゥゥゥッ!」 兎黒「...。動物?」 兎黒はほんの少しの好奇心で声の聞こえる方へ向かう 兎黒「え...!」 兎黒は思わず声を上げた そこに居たのはまるで人間味のない裸の男が猟師が仕掛けたであろうワイヤーの罠に掛かっていた 兎黒「大丈夫ぅ?」 そっと兎黒は近づき足のワイヤーを取ろうとするが男は敵とみなしたのか噛み付こうと威嚇を繰り返す 男「ガルルルッ...」 兎黒「ふぇ〜...ホンモノの野生児ぃ...。」 兎黒は何か噛ませるものを探すため周りを見渡す だが、一番目に入ったものが自分の羽織っていたコートだった 兎黒「結構気に入ってたんだけどなぁ...。」 兎黒は男が噛み付くと同時に自分のコートを噛ませると素早く足からワイヤーを外す 足から血を流していた男は歩ける筈もなく地面にただ縋りついていた 兎黒「ん〜...。どうしよぉかな。」 ふと携帯を見ると時計はもうすぐ7時になりそうになっていた 兎黒「とりあえず家、来るぅ?」 男はその言葉に少し反応したように兎黒を睨みつける 兎黒「仕方ない...。」 兎黒は男の胴体を持ち上げようとすると男は抵抗するために兎黒の腕に噛み付く 兎黒「いっっっっったぁぁぁいぃ!よぉし!もういいもんね!このまま家帰ってやるから!お持ち帰りしちゃうもんね!?」 兎黒は痛みに耐え残りの家までの道を男を引き摺りながら走った その頃、四季荘園では緑心と黄泉が夕飯の準備をしていた 緑心「兎黒さん遅いですねー。」 黄泉「警察に捕まったんじゃない?」 緑心「それはそれで大変ですよね...。」 黄泉はコップや皿を人数分並べる 黄泉「そういえば、あいつは?」 緑心「青灑さんですか?」 黄泉はその言葉に頷く 緑心「そういえば、海外行くとかどうとかでしばらく帰れないって言ってましたけど...。」 黄泉「え、え、じゃぁ皿4枚でいい?」 珍しく黄泉のテンションが上がった 緑心「そうですね。というか、そんなに露骨に喜ばなくても...」 黄泉「だって、あいつがいないだけ平和...。」 そんな話をしながら2人は準備を着々と進める 〜32話end〜

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