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廊下でボキボキと背骨を鳴らし後ろへ大きく反った。 小柄とはいえ男子高校生を抱いて歩いた上、眠った体を介抱するのはそれなりに体力がいる。 「…明日は筋肉痛だな。」 そう呟いて肩を回しながら楠本を起こさないよう、そっと扉を開く。 だが目の前にあったのはまだ眠っている予定だったそれが床にうずくまり一心不乱に薬の入った瓶を振るという異常な光景だった。 一瞬、息が止まる。 「おい、…っお前何してんだ!!」 「…ぅ"えっ……薬、っ…く、……げほ、っ…」 「早く吐け!…っくそが、どこまでも面倒なことしやがって…」 薬は瓶からしておそらく朝に見つけた避妊薬だろう。 あれだけ強力な薬を全て飲んだ、とすると体にどれだけ害があるかわからない。 慌てて楠本の前へしゃがみ顔を前へ向けさせると真っ青な顔で俺を呆然と見つめてきた。 "助けろ"と。 「喉開け、苦しくても全部出せよ。」 「…ぅ"……っ、や"…!!」 嫌がる楠本を押さえつけ、喉へ指を突っ込み強制的に喉を開かせる。 床へ顔を向けさせると苦しそうに声を上げながらボロボロと喉から錠剤を吐き出していく。 どれだけ飲んだんだ、と言うくらいにところどころ噛み砕かれた薬を吐き出すとむせてはぐったりと俺へ寄りかかってきた。 「飲んだのさっきか。」 「……今。」 「全部吐いたな。胃洗浄はせずに済むだろう。いいか、薬は大量に飲んで効くもんじゃない。頭のいいお前ならわかる事だろ。」 「孕みたく、無かった。」 楠本はそれだけ言うとガクンと力が抜けて俺へ全体重をかけたままもう動かなくなった。 グッショリと汗に濡れた髪を描き分け眉間にシワを寄せ苦しそうな顔を覗き込む。 俺が離れずに隣にいればこうはならなかっただろうか。 傍に置き手紙と薬を置いておけばこうはならなかっただろうか。 楠本の事を何も知らない、別に知りたくもない。 けれど 「…こうして傷ついた姿を見るのは、気分が良くないな。」 青白い頬を優しく撫で、その体をまたベッドへと寝かせる。 目覚めるまでは傍に居てやろう。 そしたらちゃんと話を聞こう。 関係無いけれど どうでも良くはないから。

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