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暫くしてから、皆木が俺を気遣うように声をかけてきた。
「話せそうか。」
「……ん。」
「月曜日からどこにいた?学校には来て家にも帰っていたらしいが…」
その言葉にギクリとする。
今更、しかも皆木に隠しても何も無いだろう。
それならいっそ全部話してしまおうか?
どうせ都合が悪くなればいなくなるような人間に?
「言いたくないか。」
「…なんで、そんなの聞くんだよ。」
「そうだな。担任だから、なんて言ったらお前は怒るだろうな。」
「馬鹿にして、……っゴホ、…ぅ、ゴホ、ッ…、!」
「…意地張って無理するな。少しは身体労わってやれよ。」
大声を出そうとして咳き込んだ俺の背を大きな手のひらが優しくトントンと叩く。
子供扱いされてるみたいで心地悪い。
なんて思ってると、皆木は言い聞かせるように言った。
「俺が、心配してた。どうでもいいはずなのに不思議だな。…担任である事を口実にお前を探してた。」
「……なんで、…」
「俺が知りたい。今はまだ考えてもわからない。…だから、教えろ。どこで何をしてたんだ。」
その声にまたトクンと心臓が鳴った。
どんだけちょろいんだ。
なんて、俺の心臓と血に笑ってしまう。
この優しさだって嘘かもしれないのに、後で騙されてるって笑われるかもしれないのに。
何故か、今は素直にその言葉を信じてしまった。
「月曜日、登校してすぐに倉庫に閉じ込められてた。」
「倉庫?」
「…ん。やっと逃げ出して、外に出たら雨だった。倒れて動けなかった所にアンタが来た。」
「俺が来たのはお前があそこに倒れてからすぐか?」
「いや、…数時間は経ってたと思う。最初は確か、…太陽が出てたから。」
皆木はそれを聞くと何故か顔を歪ませてから頭を抱え俯いた。
何の非も無いはずなのに。
はぁ、と大きく息を吐くと小さな声で「悪かった」と呟いた。
意味がわからない。
何に謝ってるのか、何に悔いてるのか。
わからないままその姿を呆然と見ているとポツリとまた呟く。
「月曜日の時点で探せばよかった。」
「…アンタには関係無いから、探さないのが普通だろ。」
「その結果こうなってんだ。その間もただ閉じ込められてたんじゃないだろ。…ったく、どういう神経持ってたら人間の事そんな扱い出来んだよ。」
「俺に言われても…」
「そうだな。」
皆木はそこまで話すと、腕時計へ目を向けまたため息をついた。
そういえば今は何時なんだろう。
顔を上げ時計を探そうと周りを見渡していると、皆木の何故か悲しそうな目が視界に入りジクリと胸が痛んだ。
何に俺はこんな感情を抱いてるんだ。
…なんで、こんな奴に。
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