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何も考えずに、本心のまま意思のまま勝手に口から零れていた。 「…帰りたく、…ない、…」 言い終えてからハッとする。 なんで、こんな事。 皆木にここまで込み入った話をする気も、なんとか救ってほしいなんて気持ちも一切なかったはずなのに。 ただのその場しのぎの為の助け舟だったはずだ。 …信用なんてしてないのに。 俺が一人そう考え込んでいると皆木がうーん、と低い声を出した。 「何、……」 「薬はやれる、泊まる場所もある。が、その発情期は学校に火曜には少し厄介すぎるだろ。」 「……まぁ。」 「止めるって言うのも一つの手じゃないか。」 「止める、って…」 俺がその言葉の意味に気付いたのと同時に、皆木の指先が俺の顎に触れる。 長い指に首をなぞられトン、とそこをつつかれると嫌なくらいに整った顔に見つめられる。 「お前だってもう、気付いてるだろ。」 「…気付いて、っ…て……!」 「初めて会った時からお互いわかってたはずだ。それなりに相性がいいって事もな。」 皆木の手を振り払い首を自分の手で抑える。 皆木と番に…? そうなれば、俺は一生皆木の物になるって事だ。 …もし仮に番を解消されれば俺は二度と誰かと結ばれる事は無い。 今の俺にはそんな覚悟は無いし、何より皆木とだけは番になりたくない。 「…嫌だ。」 「俺は案外上手くいくと思うけどな。運命が働いてるんだぞ。」 「アンタ性格悪いだろ。」 「お前にだけは言われたくない。大体命の恩人の担任に未だにその口の聞き方ってのは如何なものかと思うけどな。」 「うるさい…!助けて、なんて言って……」 「言っただろ。」 「言った、けど…っ!」 話せば話す程いかに性格が悪いのかがわかってくる。 所々でまるで自分はいいやつだ、みたいな口ぶりをするがそうは思えない。 どう考えても根が腐ってる。 それに上から目線で偉そうで指図しかしない。 「今、とてつもなく酷いこと考えてただろ。」 「…あぁ性格悪いなって思ってた。」 「折角人が提案してやってんのに。発情期が無くなるのは魅力的だろ?」 「絶対にアンタとだけは番にならない…っ!それならそのへんの知らな奴の方がマシだ!」 「あぁあぁそうかよ。別に俺はいいけどな。」 皆木はそう言って足を組むと背もたれにもたれかかり、腕を組んだ。 わざと大げさに呆れたような顔をするとため息までついてくる。 …やっぱりいい所はない。 さっき少し許しかけた心を引き締めて歯を食いしばると、皆木はそんな俺に「でもな」と声をかけてきた。 「そういう選択肢もあるってこと、覚えとけ。もしそうなっても俺はお前が望まないなら悪い事はしないし嫌がるような扱いもしない。…必要以上に干渉もしない。」 「…それじゃ別に番になる必要ないだろ。」 「お前が楽になるんじゃねぇかって言ってんだよ、脳みそ溶けとんのか。さっさと寝て少しは元の優等生の頭思い出せバーカ。 じゃあな。」 その言葉にカッとなり頭をあげるが、皆木はヒラヒラと手を振って部屋を出て行ってしまう。 ……でも。 今、すごく優しい事を言われたような気がした。

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