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"助けて"

眩しいくらいの太陽の光 揺れるカーテンと同じ色の白衣 消毒液の匂い ここには俺の苦手なものが詰まっている。 * 「手、出せ。」 「ん。」 皆木にそう言われて手を出すと手のひらに薬のシートが1枚と錠剤の入った小瓶を渡される。 それぞれ違うものらしい。 手をお椀みたいにしたまま皆木を見上げていると、指差しをしながら解説をしてくれる。 「こっちのシートの方が抑制剤。1日3回食後に服用。コレは水と一緒に飲めよ。」 「わかった。」 「小瓶の方は避妊薬だ。孕みたくなければ毎朝飲め。こっちは水無しでも噛み砕ける。どっちの薬も多くのんだからって効くもんじゃない。」 「ん。」 「…とりあえず今日過ごせば休日だ。終礼まではそんなに相手はしてやれないが頑張れよ。」 「色々、ありがと。」 皆木に頭を下げ薬をカバンへしまう。 ここまで良くしてもらったんだからこれ以上は迷惑はかけられない。 せめて学校内である事くらいは自分の力で解決しよう。 俺はカバンを手に持ち傍にある姿見へ体を映し出す。 髪も体も綺麗になった。 怪我こそ目立つが、これくらいすぐに治るだろう。 「…やっぱ制服デケェな。」 「ん"ん"、…」 「お前身長いくつだ?」 「……163。」 「ちっちぇな。貸出にS無かったんだよ、諦めろ。」 そう言われて靴が見えないくらい裾の長いズボンを持ち上げる。 無いよりはマシだがこれはこれで屈辱的だ。 でもこれでやっと制服で教室に入れる。 薬があるなら今までみたいなあんな事にはきっとならないだろう。 大丈夫、今まで通りだ。 「…それじゃ、行ってくる。」 「俺もすぐに行く。俺が行ったら既に事後、とかはやめろよ。」 「縁起でもないこと言うなよ。…これでもし今日、ちゃんと過ごせたら家に帰るのも考える。」 「そうしろ。うちに置いといても俺に害はないが流石に家へ帰らないのを手助けするのは気が引けるからな。…ま、夕方までに決めとけ。」 「ん。それじゃ、また後でな。」 「あぁ。」 扉を開き半分だけ振り返って皆木を見ると「早く行け」と追い出されてしまう。 シンとした廊下に一人立ち、ようやく一人なんだと自覚する。 大丈夫。 きっと、上手くやってみせる。

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