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発情期と周りの干渉のせいでまともに授業すら受けれていなかった。
ただでさえ最近、勉強に集中出来なくなってきているのにこれ以上置いていかれたら困る。
今日からは真面目に受けようと意気込んでは移動教室のために教室を出る。
…どうしてだろう。
どこからか視線を感じる。
いや、あちこちからだ。
誰も彼もが俺を見ているようなそんな感覚がする。
堪らずに立ち止まり顔を上げると、それは気のせいなんかではなく本当に見られているのだと気付いた。
周りの生徒達は皆、俺を見てヒソヒソと話をしたりただ凝視していたりと目を向けて来ていた。
顔に何か付いているのか、なんて一瞬思ったがそれの原因がなんなのかはすぐに分かった。
「あれがΩだって。」
「ただでヤらせてくれるらしいぜ。」
嫌でもそんな声が聞こえてきた。
そんな中、後ろから無駄に明るい声と同時に背を叩かれた。
「おはよー楠本クン!元気?」
「…おはよう。」
「あれ、顔色は悪くなさそうだね。君が元気になったみたいで先生嬉しいよ!」
「心配かけて…ごめんなさい。」
そう言って頭を下げると先生は俺の肩をパシパシと叩いては
「若いのにそんな事気にしちゃダメだよ!」
なんて言って楽しそうに笑った。
本当に明るい人だ。
皆木とはまるで正反対だ。
先生はヒョコ、と顔を出しては俺の腕の中の教科書を覗き込んでつまらなそうな顔をする。
「次は科学なんだね。そっか、今日はボクの授業はなかったっけ。」
「あぁ…明日、だったはず。」
「そっかそっか。あ、引き止めてごめんね?それじゃまた。」
「…また。」
そう一人で話を完結させてしまうと、ヒラヒラと手を振った。
俺は小さく頭を下げそのまま向き直して歩いていく。
あの人はどうして俺にここまで優しくてしくれるんだろう。
…普通ならあんな状況、きっと話しかけてくれるはずないのに。
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