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思い出した記憶があまりに苦しすぎて。 こんなに汚い自分を嫌いすぎて。 もう右も左も分からないのにただ一人は嫌だった。 「…わかった、行かない。ここで全部吐け。」 「ぅ"ぐ、……っ痛い……いた、ぃ…」 「胃液で喉が焼けてるんだろうな。」 口から嫌でも溢れてくるソレを無理やり吐き出す。 ぼんやりとした視界の中では、アスファルトの上に溜まる嘔吐物の色は判別できない。 何故かそれが知りたくて 知らなきゃいけない気がして 「吐いたの…何色、……?」 「……なんで知りたいんだ。」 「何色、…」 問いかけに答えずもう一度繰り返すと、皆木は手のひらで俺の目を覆った。 思わずその手に指を重ねると柔らかい布で口元を拭かれる。 「もう吐き終えたか?」 「……痛いけど、気持ち悪くはない。」 「よし。」 そう言うと目は覆われたまま抱き上げられ、なにかに座らされた。 その直後手が離されそこが車の中なんだとすぐに分かった。 皆木はドアを勢いよく閉めるとそのまま前に座ってアスセスをかけてしまう。 「なぁ、何色だった?」 「胃液しか出てない。黄色だ。」 「本当に?」 「…本当に。」 ミラーに写った楠本の顔は何故か悲しそうで、これが嘘か本当なのかはわからなかった。 そのまま走り出してしまう車に慌ててシートベルトを付ける。 車内に流れるラジオはどこかの局のアナウンサーが婚約をしたというおめでたいニュースで俺も皆木も特に何も会話をしなかった。 数分したところでようやく皆木が口にした言葉は 「晩飯、何がいい?」 というなんでもない話で。 俺はそれに「さっきリゾット頼んだって言ってたくせに。」と言おうとしてやめた。 「美味しいもの。」 とだけ答えると俺は目を閉じた。 俺なのに、まるで俺じゃないみたいでもうあちこち痛くて仕方なかった。 痛いのは自分のはずなのに、皆木を傷つける方がずっと苦しい事が一番痛かった。 もう何もかも無くなればいいのに。

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