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四人用のテーブルセットにひとり座り、なんだか落ち着かずに俯く。
…なんかさっきの皆木は様子が変だった気がする。
この家に来ると学校とは違う皆木を知る気がする。
それは相手の陣地に入ってるかなのか、それともただ俺の勘違いなのか。
「待たせたな。皿持ってくる。」
「…なにこれ。」
「何ってリゾットだろ。」
「デリバリーって普通紙の皿とかに入ってるんじゃ…?」
「そんな庶民のをイメージしてたのか。言っただろ、金はいくらでもあるって。」
そう言ってゴト、と音を立てて机に器が置かれる。
陶器で出来た器はデリバリーのクオリティではない。
二つ並んだ器を見比べながらなんとなくワクワクして中身を見たくなる。
キッチンで皿を探す皆木を横目に、そっと手を伸ばす。
「おい。」
「ひ、っ……!」
突然頭上から聞こえた声にビクン、と体を揺らすといつの間にかすぐ側まで来ていたらしい皆木が呆れた顔で俺を見下ろしていた。
「化け物でも見たような顔すんな。そんなの素手で触ったら火傷するぞ。」
「……そっか。」
「そんなに腹減ってたか?」
「こういうの初めてだからなんか、気になって。」
「あぁ、そうか。楽しんでるならいいけどな。」
そう言っては向かいに座ると高そうな皿とグラスを机に並べ、ミトンで蓋を掴み焦らすように開ける。
モクモクと上がる湯気といい匂いについ顔が緩んでしまう。
「……美味しそう。」
「どっちから先に食べたい?」
「ぅ………トマト。」
「よし。腹いっぱい食え。儚い程度にな。」
「わかってる。」
小さな器に入った小盛りのリゾットを差し出される。
甘いトマトとチーズの匂いがしてくる。
スプーンですくってから、まだ熱いまま口に押し込む。
なにこれ。
って、そんな言葉しか出てこないくらい美味しい。
思わず熱いことなんて気にせずに口に押し込むと、皆木が心配するように身を乗り出してくる。
「おい馬鹿、火傷するだろ…!」
「ん"、っ…ぅ……」
「別に急がなくても逃げねぇから落ち着け。」
その言葉に頷き、口の中身を飲み込む。
少し意地悪そうに「感想は?」なんて聞いてくるから俺は今までなんとなく貼ってきたプライドだとか意地だとかそんなもの何もかもなくして
「美味しい…!」
とだけハッキリと言った。
皆木は心底おかしそうに肩を震わせて笑うと、何故か困ったように眉を下げては
「そりゃ良かった。好きなだけ食べろ。全部お前のだ。」
と言っては肩肘をついて俺を見つめた。
なんとなく。
あぁ、こういう日々が続いたら幸せだろうな。
なんて他人事みたいに考えていた。
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