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気持ち悪さに腹の奥がムカムカとしてくる。 そんな苦しさに耐えていると、乾燥した指が俺の頬を撫でては頭上で笑い声が聞こえた。 「君、可愛いから持って帰って来ちゃった。大丈夫、学校には間に合うように返してあげるから。」 「……ひ、っ……やめ、…て…」 「怖い?怖いよねぇ、知らないところでこんな姿でいるんだもんね。でも大丈夫だよ。おじさんはとっても優しいから、皐月くんが悪い事しなかったら痛い事はしないもん。」 「悪、い…こと……」 さっきの地獄のような時間を思い出す。 多少の事は耐えるべきかもしれない。 ぼーっとした頭でそんなことを考えていた。 もう今更、多少ヤられようが多少抉られようが変わらないだろうし。 「おじさんの言う事に我儘はだめ。それだけだよ。」 「……わかった。」 「よし。それじゃまず、ご飯にしようね。少し待ってて。」 男はそう言うともう一度俺の口へ布を噛ませどこかへ言ってしまう。 蒸し暑い。 身体中が痛くて体制を変えたいのにそれも叶わない。 暗闇の中で意味もなく目を閉じると脳裏に何故かアイツの顔が浮かんだ。 思えばいつも見上げてた気がする。 アイツはいつも冷たいくせにたまに優しかった。 あぁなんで全部遠い昔みたいに思い出すんだろう。 二日経てば、また普通の高校生に…戻れる、のに。 「こら。」 「ん"、っぅ"…ぐ…、!?」 「呼んでるのに返事しないのは駄目だよ。」 眠っていたのか、気付いていなかったのか。 腹に鈍い痛みを感じて同時に目が覚めた。 いつもならきっと無視をするような言動にも今は狂いそうなくらいに恐怖を感じてしまう。 「ほら、口外してあげるから。」 「ぅ、っ……ごめ、んなさい……っ、」 「うん、いい子だね。」 その言葉にほっとする。 すると、男の手が俺の頭に触れた。 瞬時に体を強ばらせると想像とは裏腹にその手は優しく、ゆっくりと目隠しになっていた布を外した。 急に飛び込んでくる光に目を閉じると男は楽しそうに笑う。 「不細工な顔だね。眩しかった?」 「…ごめん、なさ……う"ぅ、ぐ…っ、!」 「謝ってなんて言ってないよ。眩しかった?って聞いたんだ。」 「は、っ…まぶし、かった…です、」 「そっか。」 怖い。 怖くて、目が開けない。 目を開いた先にナイフが突き立てられていたらどうしよう。 そんな余計な恐怖に支配される。 ずっと閉じているわけにもいかず、恐る恐る、ゆっくりと少しづつ目を開く。 「白目、真っ赤になってる。不気味だな。目薬指す?」 「…大丈夫、…」 この男の言動への正しい答えを探すのが苦痛で仕方なかった。 一つ一つが命賭けみたいで。 間違えれば罰があって、正しければきっと余計な事は起きない。 「そう。じゃ、ご飯にしようね。」 俺はこの時以上に"人の思考が怖い"と思ったことは無いと思う。

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