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☆関連イラストにて二人のビジュを公開しました。
しばらく指を抓ってみたり、時々熱いはちみつレモンへ口をつけたりしていたけれど皆木はまだ帰ってこなかった。
ホームルームは8:50までのはずだ。
時計を探すけれど保健室のどこにあるのかはわからず時間を確認する事も出来ない。
「…眠い。」
欠伸を一つして机に顔を伏せた頃、扉の開く音が聞こえてきた。
慌てて顔を上げると笑顔で手を振る姿が見えた。
ただ、それは皆木ではなくて。
「やぁ、久しぶり!体ばどう?」
「…先生、……」
「思ってたよりも酷い怪我だね。折れたりはしてない?」
「捻ったりはあるけど、大丈夫だって。…あの、…その……」
金曜日、黙って先生の家を出たのが最後だ。
なんと言えばいいかわからず言葉を出せずにいると先生は向かいに座っては、頭のてっぺんを俺に向けて「ごめん」と1言、そう言った。
「え、………?」
「後悔してた。キミをあの時、ちゃんと引き止めておいたらこんな事にはならなかったのに。…キミが不安定な時だってわかっててボクは油断してた。」
「そんなの、先生は何も悪くないだろ…!俺がただ…ただ、勝手に……」
「…ううん。ごめんね、守るってボクが言ったのに。」
先生の手が伸びてきて俺の頬へ触れる。
ゾクゾクと背筋に何かが走る。
優しいから?それとも、信用出来ないから?
この人は何かが怖いんだ。
けれど、こんな風に優しくされているのにそれを振り払うなんてできない。
俺はそっと首を振った。
「先生は何も悪くない、から。…勝手に出ていって心配かけたと思う、ごめん。」
「ううん。キミとこうやってまた話せてすごく嬉しいよ。」
ニコニコと笑う先生を見て少しだけ安心する。
先生にはこうして笑っててもらえるほうがいい。
釣られて少しだけ頬をあげると、先生は思い出したように手に持っていた紙袋の中へ手を入れた。
「これ、なくて不便だったでしょ?」
「携帯と財布…!」
「でもボクの家にあってむしろ良かったかもね、これは無くならずに済んだし。」
「確かに…ごめん、ありがとう。」
「いえいえ。結果オーライだね。」
そんな会話をしていると、先生はふと目線を落とした。
目線の先はマグガップらしい。
「……これが、どうかしたか?」
「好きなんだなぁと思って。そんなに美味しい?」
「なんか安心するというか…」
「へぇ…よかったら一口だけくれない?」
「え?別にいいけど…」
俺がいいと言うのと同時くらいに先生はマグカップを持ち上げた。
先生はゆっくりと口をつけゴクンと喉を鳴らした。
と、次の瞬間にガシャン、と大きな音を立ててマグカップが視界から消える。
真顔の先生と、机と床に散らばった破片。
それからフワリと香るはちみつの匂いに俺はポカンとしたまま動けない。
「…あぁ、ごめんね。手が滑っちゃった。」
「先生……?」
先生はただ破片を見つめたまま顔を上げなかった。
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