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「……お父さん、」 僕の声が聞こえないみたいに、反応はなくて。 お父さんの手が僕のパジャマのボタンを外していく。 怖くて、何をされるのかわからなくて。 歯の奥がカチカチと音を立てて、僕は体が冷たくなるのに気付いていた。 「ね、…何するの……?」 「奏斗。いいか?お前は選ばれたんだ。でも男じゃそれにはなれない。…でも大丈夫だ。お父さんがちゃんと変えてやるからな。」 「…何言ってるの、僕全然…意味、わかんないよ…っ…」 「お前は器になるんだ。」 お父さんはそう言うと、僕のズボンを引き下ろしパジャマも何もかも全部脱がしてしまった。 空気が冷たくて、怖くて、恥ずかしくて。 僕は逃げ出そうと必死に体をねじるけれど、足はつま先しかないし手首を入れられた枠組みは取れなくてびくともしない。 何をされるのかもわからない。 逃げられない。 怖くて、怖くて仕方なかった。 「やだ、…お父さん、っ優しいお父さんがいい…離して…!」 「黙れって言っただろ。」 お父さんの手が僕の頬を殴る。 一瞬、何が起こったのかわからなくて僕はぼんやりと床を見つめていた。 どうして。 朝まで普通だったのに。 勝手に部屋で寝たから? それとも、何かもっとおかしなことをしたから? だからお父さんを怒らせた? 「痛い、…っ…痛いよ、…」 「痛いのは嫌か?」 「……やだ。」 「それじゃもう逆らうのはやめるんだ。」 「でも、これはもっと…やだ、っ…痛いし、恥ずかしい…よ、」 「そうだな。今の奏斗は恥ずかしい。」 「……え?」 僕は泣きじゃくりながら訴えたけど、お父さんはおかしな返事しかしてくれなかった。 口調は優しいはずなのに言葉は怖くて全部僕が悪いような気がしてくる。 それからお父さんは僕の体を上から順にゆっくりと見て怖い顔で言った。 「これからの事はお母さんには内緒だ。」 「内緒……?」 「あぁ。お父さんが、お前を恥ずかしくない様にしてやるからな。」 お父さんさんがそう言うと、知らない人が黒い袋を持ってお父さんの後ろまでくる。 お父さんはその袋を受け取ると僕の頭にそれを被せた。 怖くてやめて、と叫んだ時になんだかおかしい事に気付く。 周りの音が聞こえない。 僕の声だけが響く。 周りが見えなくて目の前が真っ黒に染まった。 それからすぐ。 たくさんの手とたくさんの指が僕の体に触れる。 何が起こってるのかわからない。 ただ、あちこち撫で回されてそれから舌に舐められて。 逃げようと暴れると顔やお腹を殴られた。 痛くて泣いても誰も優しくしてくれなかった。 それから、恥ずかしい事や痛い事がずっと終わらずに続いていた。 きっと何時間も。 目が覚めた時は冷たい床の上で周りには誰もいなかった。 僕の両手と両足は荒縄で結ばれていて僕は服を何も着ていなかった。 外はお昼で太陽が光ってて、学校に行かないといけないはずなのにお母さんは起こしに来てくれなくて。 「お"、か……ぁ"、さん……」 呟いたけど声は枯れて、おじいちゃんみたい。 僕はそのまま目を閉じて寝ようとした。 体中が痛くて動けない 縛られたまま顔に触れると血が付いて、ほっぺたは腫れてる 生きてるのがこんなに痛いんだって知った それは まだ 生まれて七年目の秋だった。

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