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「性別検査?」 休み時間、がやがやとした教室の中で奏斗は首を傾げた。 椅子に座った奏斗と、それから俺。 横には高校に入ってから出来た友人が2人いた。 高校に入ってからは中学までみたいなわかりやすいイジメは無く、俺たちにも当たり前のように友人が出来た。 特に奏斗は元から明るいおかげかすぐに周りと馴染めたらしい。 一方、あまり性格も振る舞いも良くない俺は多少浮いたが奏斗のお陰で数人は話し相手がいたし何にしろ俺達はいつも一緒にいた。 それらさておき、性別検査の話に戻る。 「ほら、Ωとかαとか。わかってる奴もいるけど15でちゃんと出るっていうだろ?その検査らしいぞ。」 「え、皆分かってるの?」 「はぁ?小学校でも中学校でも血液検査ってあっただろ。優と奏斗のとこなかったのか?」 「いやあった。家に送られてたから…奏斗は親から聞いてないのかもな。」 確かに三年に一度、検査があった。 一般的に高校3年の検査で確定するらしいがそれまでも仮として調べはしていたはずだ。 と、そう言うと奏斗はヘラリと笑う。 「そういえばあったあった!忘れてた。それで、皆はβ?」 「俺はβ。」 「俺も。」 「俺はαだった。」 友人二人に続いて言うと、3人は大げさに驚いた顔をする。 それから二人は俺を茶化すようにあれこれ言い出してきた。 「αって事はインテリだな!?」 「可愛いΩ見つかるといいなぁ。」 「運命の番ってやつ?男と女どっちだろうな?でもまぁ、優ってどっからどう見てもαって感じするし…」 「Ωは幸せもんだなぁ。どー見ても当たりだろ!」 「やめろよ。今のところαってだけでまだ決まったわけじゃないだろ。…くそ、だから言いたくなかったんだよ。」 俺がはぁ、とため息をつくと奏斗はクスクスと笑っていた。 でも何かいつもと違うような気がして。 笑ってるけど何かを考えているような。 時々奏斗はそういう顔をした。 * 「トイレ行ってくるね。」 とだけ言い残して教室を出る。 窓から中を見ると優はほかの皆とまだ話してるみたいだった。 息苦しくて慌ててトイレへ向かう。 幼い頃、意識を失う寸前に父親に言われていた言葉がフラッシュバックの様に蘇る。 『お前はΩだ。いいな。』 すっかり忘れていた。 学校に行く様になってからはそんな事言わなくなったけど、それはもしかしてボクの性別がわかったから? ボクの父親はαで母親はΩだ。 どっちになる可能性もある。 そこでとある事に気付いた。 もし、ボクがΩならもう発情期が来ててもおかしくない。 それに"お世話"を通して何度も中に出されている。 本当にΩなら孕んでいたっておかしくないはずだ。 「……それが無いってことは。」 ボクはα? 心臓がドクン ドクンと波打つ。 優と出会って、7年が経った。 大好きな友達からそれ以上の感情が芽生えた。 キミさえ居ればいいと思えるようになった。 キミと1つになりたいと心の中で何度も願った。 優かボクの片方がαで片方がΩなら。 そう、何度1人で思い描いたか。 キミもボクも αなら? 『運命の番ってやつ?』 もしキミに 運命の番という人物が現れたら ボクより後に出会った誰かが キミと 運命で結ばれたら 「……そんなの、……」 残酷過ぎると そうとしか 思えなかった。

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