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小、中学校と同じく検査結果はそれぞれ表にされ一人一人配送されると言われた。 そして高校での検査が決定となるため毎年検査のし直しがあること、それはほぼ一年生の結果が確定になることを聞かされた。 そしてその日。 ボクは怖くて、それから緊張で眠れなかった。 もう家に検査結果が届いているはずだ。 狭い部屋の中で目覚めた後、なかなか制服に着替える気になれずぼーっと庭を見つめていた。 この部屋に来てから数年。 ボクは何が変わったんだろう。 血も息が生き方もあの日からもう決まっていて、今も同じなのかもしれない。 「かな。」 頭上からボクを呼ぶ声が聞こえた。 ボクが顔を上げると父親は何も言わずにただ見下ろしていた。 早く準備をしろ 朝食が置いてある 間抜けな顔はやめろ 色んな気持ちが込められた顔だ。 いつもなら会話なんてせずに家を出ていくけれど今日だけはなんとなく聞いてみたかった。 「お父さん。ボク、Ωなの?」 父親は眉間に皺を寄せた後、暫く黙り込んでいたけれど何を思ったのか急にボクが着ていたシャツの首元を握り込む。 ボクが驚いて目を見開くのと同時に振り上げた拳が右の頬へめり込んだ。 久々にまともに殴られて反応ができない。 学校に行くようになってから…特に中学の後半からはあまり顔や見えるところへの暴力はなかったから余計にだ。 「……お前が、……」 その言葉と同時にもう一度頬を殴られる。 痛い。 歯の奥が切れて、鉄の味が広がっていく。 床に突き飛ばされると父親は馬乗りになってボクを見下ろして。 「お前はΩだ。いいな、…っ…お前は…」 うわ言のように何度もそう言う父親は狂気的で今までよりも一層恐ろしく思えた。 拳を振り上げて、今度は左の頬へも痛みを感じる。 右、左、右、左 繰り返し殴れるうちにそろそろ感覚がなくなってくる。 「ご、…めん"、…っ…な、…ぃ"、…」 「お前がもっと良い出来だったら、もっと幸せになれてたんだ。お前が悪い、お前のせいだ!!!」 謝ろうと開いた口が切れる。 舌を挟んだ歯がピキリと音を立てた。 変わったことはしない方が得。 期待はしない方がいい。 幸せになる? そんな未来あるはずがない。 ボクは一生ここで、この人と生きて。 それからいつかこの人に殺される。 そんなの 分かりきってたことなんだ。 「かな、服を脱いで奥の台に行きなさい。」 「……はい。」 ボクはαだった 父親の言動が答えだった。 幼少期、ボクを抱く父親は恐かったけれどどこかに優しさがあった。 大切にされて保護されているようなそんな感覚だった。 日に日にそれは薄れ段々とただの暴力への変わった。 女の様に扱う癖に男なんだろと時々、責め立てるように言うんだ。 それはきっとボクが父親の中の理想からかけ離れていったせいだろう。 父親の求めるボクは小さくてか弱くてそれから女の子らしいそんな人間だった。 けれど実際のボクは背が高く伸び、手が大きくてそれから顔立ちも女性的とは言いがたい。 そんなボクを父親は嫌い、父親の周りの信者達は醜いと罵った。 「かな、今日はお仕置きだ。」 「………え、……?」 台の前でシャツを脱ごうとしていたボクへ父親はそう言った。 お仕置き、ってやつはボクがよっぽど悪いことをしでかした時しか言わないものだ。 例えば髪が短くなったり放課後帰りが遅くなったり遊んでいたのがバレたり…わかりやすい失態の時。 今日のお仕置きの理由は? ボクが αだと気付いてしまったから? 「かな。綺麗だな。」 父親の声に寒気がして、今すぐ逃げ出したくなった。 「……はい。」 ボクは無理して笑顔を作って見せる。 ねぇ お父さん ボク 本当の自分がどれか もうわかんないよ。

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