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慣れない枕と布団。
ようやく寝付けた頃に昇る朝日と、鳴り響く着信音。
寝ぼけた目と思い頭。
ここ どこだっけ。
「……………はい。」
目もろくに開けずに電話に出て返事をする。
出てから学校だったらどうしよう、なんて思ったけれど電話の向こうからは聞きなれた声が聞こえた。
『奏斗、朝早く悪いな。…今日用事あるか?』
「…優?………ううん、無いよ。」
ようやく目を開き、見慣れない部屋を見回しながらそういえばあのまま泊まったんだったと思い出す。
早寝の千葉クンに釣られていつもより早く布団に入ったものの落ち着かずに寝付けず深夜まで起きてたはず。
…と、電話の向こうの声に意識を戻す。
まさか優から呼び出しをされるなんて思ってなかった。
もしかして、もしかするかなんて。
『本当か?俺、今日から進路相談で。…悪いが楠本に付いてて貰えないか。1人にするのは不安で。』
……やっぱり、もしかしない訳で。
ボクは起き上がり目を擦りながら横で眠る千葉クンを見下ろす。
このままここにいるのも申し訳ないし懺悔の気持ちも込めて今日は子守りもいいかもしれない。
「うん、いいよ。中央病院?」
『助かる。あぁ、中央病院だ。後で病室の番号送っておく。』
「わかった。準備できたら向かうね。進路相談頑張ってね。」
『すぐ終わらせてくる。またな。』
と、それだけの簡潔な会話で電話は切れる。
進路相談すぐ終わらせるって教師としてどうなのか。
うーんと大きく伸びをして欠伸をする。
彼が起きる前に家を出て行ってしまおう。
なんとなく、顔を合わせるのは気が引けるし。
なんて思ったのに、布団から出ていこうとしたところを後ろから裾を引かれる。
「行くんですか?」
「…おはよ。楠本クン見ててって。」
「俺も行きます。」
「なんでキミがいくの。なんでいるのって言われて理由にならないでしょ。」
と、答えると寝起きの良い顔で起き上がった千葉クンが首をかしげた。
本当に寝起きかってくらいいつもの顔で。
「いや、進路相談に。」
「…あぁそっちか。早く帰りたいらしいから、手短に終わらせてあげてね。」
「三時間くらいしてきます。」
「鬼かな。」
なんて話をしてクスクス笑う。
ボクとしても、楠本クンと2人はきついし早く終わらせて欲しいところだ。
髪を手ぐしで一纏めにしてから、携帯の画面を見る。
時間は7時過ぎ。
今から準備したら8時半くらいには病院に着くだろう。
…あの子と、どんな話しよう。
「嫌がらせしちゃダメですよ。」
「流石に今日はやめとくよ。」
と、二人顔を合わせて笑う。
そんな不思議な朝。
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