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文化祭から修学旅行へ。-2

 「良いかー。よそ様の土地で、バカな事して、よそ様の土地のご迷惑になって、この旅行ぶち壊した奴。地元に帰ったら酷いからな。」  って事で、あっという間に修学旅行です。3泊4日です。  春哉の心配の種である心ちゃんは、暫く社長宅でお泊りだそうで。楽しそうに準備をする心ちゃんの隣りで、夏生さんが飲んだくれてたそうです。あの人、いつか肝臓やりそうだよね。  新幹線の中は皆熟睡。俺もだけど。起きたら着いてて、はってなっちゃった。それからバスに乗り込んで、ちょろっと観光と資料館とか回ってやっとこさホテル。部屋割りは、やっぱり班別。春哉と2人だったら、理性ぶちギレてたよね。いらん気を回そうとした誠は、全力で止めたけど。  「……春哉、蓮が八橋追加だって。あいつ、甘い物嫌いじゃねぇの?」  「八橋?……あぁ、お手伝いさんじゃない?両親は、あんまり家にいないから。」  「会った事あるのか?」  「うん。挨拶は何度か……今は、50代位かな?」  「へぇ。まぁ、良いや。俺忘れるかも。」  「大丈夫。龍司がメモ持ってるよ。」  「持ってるよ!!ほら!!」  「お、ナイス。貸して。」  「うーい。」  荷物の整理をしたら、1度集合。今後の予定についての話しがあって、夕飯です。……初日って、そんなもんだよね。俺達は席で明日どういう風に周るかを確認しつつ、賢悟と辰彦の班とどう合流するかを決めた。いやぁ……山口さんのアレがなければ、心から楽しいよね。辛い。どう断ろう。  「……おい。」  「っ、ふぁい。」  「零れてる。」  「……うおぉう。」  冷めてるけど、俺のスウェットが味噌汁味になったよ。予備持ってきて良かった!!母ちゃんすげぇわ!!  「はい、龍司。」  春哉が拭くものを持ってきてくれていた。  「春哉、悪いなぁ。ありがとうよぉ。」  「何それ、年寄りのつもりか?」  「あれ?マコちゃんのが冷たい。何で?」  「お前の味噌汁が、俺にまでかかったからだよ。見ろ。」  誠の足首辺り。スウェットから覗く踝に、わ、わかめが!!つうか、お椀の中身空なんですけど。  「……す、すいません。明日、抹茶アイス奢るから……。」  「ラテにしろ。」  「2人共、いい加減拭きなよ……。」  呆れた様な顔で、春哉はテーブルを拭いている。藤崎は俺の分の味噌汁を取りに行ってくれていて、山口さんは春哉と一緒にテーブルを拭いている。  「ごめんな、2人共。誠も。」  「俺が一番の被害者だろ。」  「ごめんって。」  「やめなさいって。ほら、誠は洗えば済むから。」  「……春哉は、女神か。」  「はいはい、ありがとうございます。ほら、2人共早く。」  わー、見下されたー。俺は誠と担任の傍に行って、事情を説明した。くっそ笑われた。それから着替えと、洗いに自分達の部屋に向かった。手洗いと言う洗濯をせねば。特に俺の。  「……お前、山口の事どうすんの?」  部屋の風呂場で川へ洗濯に状態の最中に、誠が後ろから言ってきた。突然の事で思考が止まったけど、ニヤつく賢悟の顔で復活した。  「……賢悟の奴……。」  「春哉も知ってる。」  「はぁ!?」  「おい、それ持ったまま動くな。やめろ。」  「あ、ごめん。かかった?」  「いや……ほら、打ち上げあったろ?」  「うん。」  「賢悟が春哉に実況してたんだよ。動画と画像付きで。」  「……ちょいちょい良い奴なんだけどな。」  「まぁ、それで山口の事も流れで言ったみたいだな。俺に確認の連絡来たよ。」  ほら。と、ラインを見せてくれた。マジでした。  【山口さん、リベンジって本当?】  【らしいな。】  【そう。女子って凄いね。】  【だな。】  何この会話。混ぜろよ。朗らかに会話してんじゃねぇよ。  「……そっすかぁ……。」  「で、どうすんの?」  「……困ってる。断るとは、言ったけど。それでも良いからって。」  「ふぅん……言えば?正直に。」  「男が好きって?バカか。修学旅行中だぞ?ギクシャクしちゃうでしょうが。」  「元々多少はギクシャクしてるだろうが。」  「してませんー。仲良しですー。あ、やべぇ、腰超いてぇ。この体制辛い。」  「代わるか?」  「いいよ、自分のだし。……正直言ったら、どうなるんすかねぇ。」  「どうもなんねぇだろ。山口は、良い奴だと思う。人の事をしっかり見てる。多分、薄々は感じてたんじゃないか?別に好きな奴がいるって。」  「え、マジで?」  「多分な。それでも、告白したかったんだろ。だからした。お前は断ったけど、もう1度告白するんだろ?……もしかしたら山口、相手の検討ついてるんじゃないか?」  誠の言葉に、俺は何も答えなかった。黙々と洗って、絞って、適当なハンガーに吊るして、換気扇を点けた。  「……どうしよう……。」  「山口はバカじゃない。お前が本当に春哉を好きなら、正直に理由を言えば良いだろ。」  「んー……。」  それでも、俺は決心がつかない。誠は俺の腕を引っ張って、夕飯の席に連れ戻された。その最中、蓮との関係について聞いてみた。  「あいつに何を聞いた。」  「聞いたっつうか、話しの節々っつうか。ほら、夏生さんお前ん家来たじゃん?あの時ちょろっと。あと、文化祭ん時。」  「人の事は見てるんだな……関係はあるよ。それについては同意の上だし、正直興味本位で誘った。」  「……マコちゃん、ビッチ……。」  「どうとでも。だから、正直どっちでも良い。俺は、言葉で言ってほしいとも思ってない。だから、向こうが付き合ってくれって言うなら付き合うし、無いなら無いでこのままでも良い。気楽だ。」  「こ、このままって……?」  誠は俺を見て、すぐに前を見た。  言葉の無いカンケーは、どういう気持ちなんだろう。蓮も、誠も。どういう気持ちで、つるんでるんだろう。  「……お前が気にする必要はない。俺は、本当にどっちでも良いんだ。興味本位で誘った俺が悪いんだからな。それがあいつにとってどうなのか、俺は知らないでいるのが俺の些細な償いだ。」  「……好きなの?」  「……正直、よく分かんねぇ。嫌じゃなかったし、もし付き合ってくれって言われたらOKはするな。」  「それ、好きじゃん。」  男同士でなんて、本当に好きじゃなかったら嫌がるんじゃないかな普通。だって俺達、ノーマルだし。偶々、好きになったのが男だってだけだし。  「そうか?俺、女子の事も好きになった事あるのかわかんねぇんだよな。」  「え?でも、彼女いたじゃん。」  「まぁな。告白された時、いなかったし。」  「……ビッチ。」  「はいはい。そーですねー。」  バカにされた。  ***  「龍君、ぼーっとしてたねぇ。」  「いつもだよ。」  「委員長酷いなぁ。まぁ、そうだけどね。ゆかり、水飲む?」  「あ、うん。ありがとう。……春哉君。」  「うん?」  「私、諦める為に告白もう一回して良い?って聞いたの。」  「……そう……。」  「諦めようと思ってたんだけど、諦め切れなくて……好きな人、いるんだって。」  「……でも別に、諦めなくて良いんじゃないかな。」  「え?」  「多分、龍司はそういうの嫌うと思う。龍司の為にっていうのは、山口さんの気持ちの押し付けじゃないかな?」  「……押し付け、かぁ……。」  「山口さんはそのまま、他の人を、龍司よりも好きな人が見つかるまで、龍司を好きでいれば良いんじゃないかな?」  「……春君。」  「龍司は、優しいよ。誰にでも。」  「うん。だから、好きになったんだ。」  この山口さんの言葉に、「僕もだよ。」とは、言えなかった。  ***  「……邪魔。」  うはー、春哉の寝起きくっそ悪い。でもイケメンだねっ!!あと、テンション低いと夏生さんと似てるね!!怖い!!  「さ、さーせん……あの、寝癖が……。」  「うるせぇ。」  「はい。」  「……寝起き最悪だな。」  「大丈夫、受け入れる。」  「何をだよ。春哉、俺も顔洗いたい。」  「ん。」  はい、っつーわけで2日目ですね。観光ですよ。夕方は移動ですよ。露天風呂と大浴場ですよ。あぁ、俺の味噌汁味のスウェットが乾いてる……良かった……うん、臭くないよ。手洗いでも、洗剤あると違うね。聞いて良かったわ。さすがに、ホテルの人に洗濯任せるとか申し訳なさ過ぎて断ったけど。  朝食を食べる頃にはいつもの春哉に戻っていて、朝の事を全力で謝ってきたから全力で受け入れた。誠には、冷めた目で見られたけどね。  さて、観光ですが学校に帰ったら1つのテーマでレポートを纏めるから、真面目にはやるよ。うん。食べ歩きぐらいはするけど。  「ラテ。」  「……分かってるよ!!」  「え、龍君私達の分も!?太っ腹ぁ!!」  「は?ふざっ、ばっか、自分で払え!!」  「藤崎さん、たかっちゃ駄目だよ。ほら、昨日の夕食でお味噌汁こぼしたでしょ?今日1日、誠のどれ……下僕だから。」  「春哉!!奴隷って言おうとしたよね!!下僕も似てるけど!!」  「意味は全然違うよ。」  「真面目に答えられた!!くっそぉ……これ下さい。」  目に入った飴ちゃんの詰め合わせと、ラテを買って、飴ちゃんは女子2人に渡した。ちっちゃい金太郎飴みたいなやつ。柄も味も色々みたいだけど。  「え、本当?」  「良いの?」  「良いよ。ほら、春哉は温かいのな。あっちーから、はやく。」  「うん、お金出すから待って。」  「いらん。明日何か買って。あと、何かかぶって。」  「かぶ……んー……物によるけど、仕方ない。分かった。」  「てめぇは腹下せ。」  「残念だったな、腹は強い方だ。」  俺?アイス買った。くっそ美味い。寒く無いよ、店内で賢悟達待ってるだけだしね。  10分位ぐだぐだ待っていたら、賢悟達もそれぞれ買って入ってきた。  「はっ、アイスいた!!」  「あっ、龍司は買うと思ってた!!」  さすが賢悟!!分かってる!!辰彦と、同じ班の女子達は腹壊しても知らないと言っている。それに賢悟は猛反発してたけど。  それから少し、やっぱりぐだぐだして、これからどう回ろうか話し合った。女子は皆で、俺が買った飴ちゃんを食べてる。辰彦と賢悟と春哉は女子から飴ちゃん貰ってる。俺にもと言ってくれたけど、アイスがあるからとりあえずお断りした。そうそう、結構量が多かったんだよね。粒は普通位だったよ。味も色々。それであの値段は、中々お手頃だな。  「そういえばさ、明日誰と回るか決めた?」  女子の1人が言った。明日は1日、テーマパークで最終日はまたバスの中から観光して帰宅だ。  「まだー。この班でって話しはしたけどねぇ。」  「あぁ、やっぱり?こっちも同じだよぉ。あ、そういえば――。」  おぉ、見事に恋バナに突入した。きゃっきゃと楽しそうに話してる。俺達?眺めてるだけだよ。賢悟と辰彦は恋バナに参戦してるけど。すげぇなこいつら。  途中春哉がお手洗いに行ったり、誠がついでに母親の為に俺が買った飴買うって行ったりして1時間程そこにいた。それから観光と言う名の課外学習。担任にばったりですよ。両手に土産物たんまりですよ。  「嫁と娘用になぁ。」  「「……えっ!?」」  嫁と娘いたの!?この担任!!  「あれ?言ってないっけ?俺既婚者。教師やる前に結婚したの。指環はここな。見るたびニヤつくから、こうしろって怒られたんだよ。」  そう言って首元から出てきたのは、シルバーの指環。  「高校の同級生でさ。俺の自慢の嫁と娘見る?」  衝撃的事実過ぎて声がでねぇよ。見たけど。また娘が中学生とかいう事実に驚いた。すげぇ、たしか40にもなってないよこの担任。  「じゃ、気を付けてなぁ。」  なんて笑顔だし。すげぇ。  「衝撃。」  「ちょっと、拡散するしかないよ。」  「だよねだよね。」  なんて、女子達が言ってる。なんでも、指環をしてないし若いし人懐っこいしでガチで憧れる女子生徒がいるとかなんとか。あの担任、底が知れない。  「あ、じゃぁ一端ここで別行動だね。」  春哉の声に、班は元の形に戻った。レポートの資料集めの為だ。皆で手を振り合って、別れた。  電車やバスに乗って、博物館や資料館を中心に回った。変な所真面目だからね、レポートはちゃんと纏めないと後が怖いんです。  「あー、疲れたー。」  気が付けば夕方。俺達は電車に乗ってホテルの最寄まで。荷物は昨日寝る前には纏め終わってホテルの隅に。だから俺達は荷物を持ってバスに乗り込み、夜には次のホテルだ。旅館か。旅館。  「だな。」  「今日のお夕飯、楽しみだよね。」  「だよねー。旅館だよ、旅館。」  「風呂も広そうだよな。」  「パンフレットの写真でしょ?あれ、予約制らしいよ。」  「らしいな。でも、男共はめんどくさがってやめる奴が多いらしい。」  「そうなの?私達どうする?」  「皆に聞いてみようよ。」  「だねー。」  そんな会話が数人越しに聞えてくる。そこまで息苦しい程ではないが、結構な窮屈さ。俺と春哉は車両の角っこまで押しやられてしまった。  俺は背中に角があって、春哉は俺の目の前にいる。俺達も旅館の露天について話していたら、突然春哉の顔が歪んだ。  「……春哉?」  「っ、ちょっと、待って……。」  おいおいおい、何これ何これ。どうした春哉。顔赤らめて、もぞもぞしちゃって。何これ、俺に対する苦行?ねぇ、苦行だよね。  電車が揺れた。春哉が俺にもたれ掛って来て、耳元に息が掛かった。やめろよ、嬉しいけどヤバイから!!  「ちょっと、っ、俺、触られて、ねぇ?」  「……え?」  春哉が素だ。何事かと俺は視線だけで下を見下ろした。無理、見えない。周りを見ると、新聞読んでるおっさんが2人。本を両手で持って読むおっさん。他にもいるけど、俺の横だ。  俺はぐっと春哉の肩を抱き寄せて、「おねむかー?」なんて言いながらちゃんと確認しようとした。でもやっぱりよく見えなくて、でも春哉は震えるしで、俺の理性がぶっ飛びそうなん……あ、ん?黒くね?鞄か?  俺は自分の手を春哉の腰辺りに回して、視界に入る何かを勢い良く掴んだ。ん?あれ?人の、うわ、「痴漢じゃん!!」  あ、やべ。声出た。  「ふはぁ……。」  えー、何されてたの?マジで。ブチ切れて良い場面だよね?どさくさにまぎれて春哉の肩抱き締めちゃってるけど良いよね!!良いよね!!治まれ俺の息子!!細くない。春哉の肩は細くないぞぉ。春哉の息子様がちょっとアレになってるのなんて気にしないぞ!!  「おい、どいつだよ。」  「今、腕掴んでる!!黒いの手袋!!」  誠は人ごみの向こうから覗いて、こいつかなんて言いながらその人の肩を掴んでくれた。車内の人達が、ざわざわしてる。見てみぬフリか、この野郎共め。  「次の駅、降りようか。おっさん。」  おっさん、顔真っ青。  「龍司……。」  声が、無茶苦茶低い。寝起き並みで低い。  「なん、でしょうか。」  「トイレ……。」  ですよねー。分かるよー。くっそ、どんだけねちっこく触ったんだよこの野郎。丁度電車が止まり、誠は女子2人とおっさんを連れて降り、俺は春哉と一緒に降りた。  「あの、先トイレ行くわ。」  「あー、うん。行って来い。駅員には言っとくから。」  「うん。」  よし。と春哉の手を掴んでもうダッシュです。女子2人?多分、察してはくれてる。保健の授業万歳。  「春哉。」  「持ってろ。」  「あ、はい。」  鞄を俺にどんですよ。冷静になって、怒りがこみ上げてるんだろうな。時間?測りたいけど、怒られるからしません。妄想もしません。俺がヤバイから。  暫くぼーっと待って、誠達の事を考えた。まぁ、山口さんいるし。担任に連絡してくれてるだろうなぁ。  「伊崎ぃ!!」  「ふぁいっ!!えっ?うわっ、はやっ。」  「近くにいたんだよ!!春哉はどうし……あー……すまん。」  俺に掴みかかって来て、トイレ見て、俺を見て、トイレに向かって謝った。変態チック。  「うん、何か、うん。先生、離して。」  「おぉ、悪い悪い。他の奴らは?」  「多分、駅員さん捜してる……お。」  携帯が震えたよ。見たら誠からライン。駅員さんとこっちに来るらしい。それを担任にも言ったら、一緒に待つと言った。そんな話しをしていたら、春哉が出てきた。  「……女子の気持ちが分かった。」  トイレから出て開口一番それですか。ちょうど誠達も来て、担任おっさん見て怒鳴り始めた。  「てめぇかこらぁ!!うちの生徒傷物にしやがって!!」  「ど、どーどー、先生。落ち着こうよ。」  「む……くそ。」  うわぁ。顔怖ぁ。先生の顔じゃないよ、これ。  俺は先生を引きずりつつ春哉を庇いつつ、女子2人は誠とおっさんを睨みつけながら、おっさんは駅員さんに捕獲されつつ事務所の方に向かった。……ごめん、初体験の事にテンションちょっとだけ上がってる。  つうか、おっさんぶん殴るタイミング逃したな。くそっ。  ***  事情を聞かれて、話して、おっさんの事どうするか相談して、結局バスの時間に間に合わず。仕方ないと、担任と一緒にタクシーに分乗。俺と誠と春哉で1台。担任と藤崎と山口さんで1台。  誠は前で運転手と世間話してるけど、春哉が俺の隣りで黙ったままで隣りからの空気がくそ重い。あぁ、旅館付いたらどうなっかなぁ。まぁ、うちのクラスだし。慰めはするけど、笑いはしないだろうな。むしろ、おっさんの処遇について話し合いが持ち上がりそうだ。それで春哉が笑えば良いけど。  「……交通費、ちょっと多めに請求したらまずいかね。」  「領収書貰ってるんですから、詐欺になっちゃいますよ。」  「……山口、お前、去年よりしっかりしてるなぁ。」  「えっ!!本当!?内申点下さい!!」  「ちゃっかりしてるなぁ。ダメー。レポートちゃんと書いてたら考えてやろう。」  2台分、担任が出してくれた。すげぇ。大人すげぇ。つってもね、そこまで離れてない場所だから大した事なかったけど5桁近いのにはびっくりした。  「ほら、お前ら早く入れ。夕飯の時間には間に合ってるから、着替えてから広間だからな。」  「「はーい。」」  俺達の荷物は、クラスの奴らが部屋に運んでくれたそうだ。クラスで雑魚寝。楽しいだろ、絶対。  ふと、俺の携帯が震えた。何かと見れば、山口さん。  夕飯の最中に、抜け出して中庭で落ち合う事になった。

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