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年越し。-1
やってきました大晦日。朝の7時です。眠いっ!!
昨日、親父に明日は泊まりだと伝えたら大泣きされた龍司です。龍太はその様子を、冷めた目で母親と共に見てました。龍太は、さすがに疲れてるからって部活連中との初詣意外は引っ込む事にしたらしいよ。
で、何でこんな時間に起きてるのかって?賢悟が朝集まって、昼寝して、年越しテレビ観て朝日見ようぜってのたまったからだよ!!辛い!!眠い!!
待ち合わせの時間?8時に現地だよ。早過ぎるだろ。
「はい、これ夏生の荷物。」
「うーい。」
「こっちは、心の。」
「はーい。」
で、今春哉の家の中で待機中。つうか何このお母さん。荷物作りもしてあげちゃう的な。
夏生さんと心ちゃん、社員旅行らしいです。何で年末年始なんだと春哉に聞いてみたら、どうやら心ちゃん目当てらしいです。ロリコン的なあれでなく、親戚感覚で。3日の夜に帰宅だって。
……そうそう、蓮の所泊まった後の1日と2日。泊まりにおいでって言われちゃった……言われちゃった!!理性をガッチガチに固めないとね!!
ま、つーわけで俺は春哉待ちなわけ。
「この封筒は、予備のお金だから。」
「ん。」
「……心、夏生が酔っ払ったら?」
「はらにいっぱつきめてやれ!!」
はー、偉いけど言ってる事超物騒。
「女の人に、ちょっかい出し始めたら?」
「ほっぺたぎゅーってする!!」
「はい、よく出来ました。」
出来てなくね!?マジ物騒過ぎる!!夏生さんも微妙な顔してる。ウケる。
「なぁ、俺の扱い酷くねぇ?」
「……去年、俺と奥さん方がどれだけ恥かいたか覚えてんの?」
「……すいません……。」
去年、夏生さんが旅先で社長と社員さん達で道路で寝こけて警察行ったんだって。バカだよねー。社長までもがテンションぶち上がるっていうね。
メンバーは、当たり前だけど社員と社長。それから、そのご家族なんだって。
「お酒は?」
「程ほどに。熱燗は2本まで。」
徹底してんなぁ。
「うん。じゃ、行ってらっしゃい。」
「行くぞ心!!温泉!!」
「温泉!!卵!!」
「あ、うん。それも買おうな。」
温泉卵、美味いよな。2人が部屋を出て、やっと空気が落ち着いた。
「疲れた……。」
「お疲れ。行ける?」
「うん。」
戸締りとガスと、コンセントを引っこ抜いたり。行けるっつって、行けないっつうね。良いけどね。俺は、靴を履いて待ちますよ。
「ごめん。」
「良いよ。8時っつっても、どうせ言い出した賢悟が遅れるだけだし。」
笑った春哉を見て俺も笑って、行こうかって言い合って。2人でバス停に向かった。朝飯は、電車乗る前に簡単に済ますつもりです。
***
「……広いなぁ、この辺。」
「まぁ、一等地だからねぇ。」
そうです、蓮のご自宅。一等地のど真ん中。びっくりだよ。
「入り口、多分こっちだった気がする……。」
と、春哉。うろ覚えだけど、道に迷わないところ。さすがです!!
蔵はどうやら別で入り口があるらしく、そこは蔵に直でインターホンの音が鳴るらしい。それを探しつつ、塀を辿ってると、出た。黒い扉とインターホン。
「……合ってるのかな?」
「蓮に電話すれば良いんじゃね?」
「そうだね。」
うんうん、電話があっさり出来る様になって良かった。
春哉が電話を掛けて数分後、目の前の扉が開いた。時間は8時半。まぁ、仕方ないよね。
「早かったな。」
「賢悟とかは?」
「まだだ。誠はいるけど。」
「どーせ泊まってたんだろ。」
「そうだ。」
そんな会話をしながら、蔵へと真っ直ぐ。石畳とか、時代錯誤。また、庭が広いのなんの。
「金持ち。」
「爺さんの遺産だけどな。」
重厚な一番表側の扉は開けっ放しで、中に普通の扉が1枚。色は黒。
「ん、入れよ。」
「おじゃましまぁす。」
春哉の手を握って、いざ出陣。小さく春哉がお邪魔しますと言ったので、一安心です。まぁ、当たり前だけどいるよね。ベッドの上に。
「……上半身裸の眠り姫、誠。」
カシャーですね。女子共、歓喜せよ。乳首やで。あ、こいつ髪色戻しやがった。
実は誠、夏休みの最中に薄っすら茶髪にしてました。もうホント、日に当たらないと分からないくらいの茶色。意味ねぇって言ったら、『良いんだよこれで。近くで見るのなんて、そんないねぇし。』と言ったので、意味深怖いってなりました。後で蓮に聞いたら、心当たりありそうな顔されたので、肩パンしました。
「やめてやれよ。そいつ、俺が起きた6時位に寝始めたから。」
「そうなの?何で?」
「さぁ……俺が寝た時は、DVD観てたけど。」
指差した先には、借りてきたのか山積みのDVD。海外ドラマ。分かる。次をっ!!ってなるんだよな。こいつ、昨日借りてやがる。
それよりも、蓮のベッドで上半身裸で寝てんだからもう生々し過ぎてもうね。
てか布団被らないで、上半身裸でよく寝れると思ったら。この部屋くそあったけぇ。何これ。大した暖房器具なんて無いのに。動いてるの、ストーブと加湿器位なのに。蔵すげぇ!!
とりあえず、誠は放置です。春哉がそっと、布団を掛けてあげてます。
「道、よく覚えてたな。」
「どうだろ、ちょっとうろうろしちゃった。曲がり角のコンビニ、無くなった?」
「……あー、あれな。この辺の大人が、コンビニ行くと思うか?俺は通ってたけど。」
「成る程ねぇ。」
「龍司、お前何飲む?」
「何あんの?」
「お茶、と水。とコーヒーと紅茶。」
「お茶くーださい。」
「ん。春哉、お前温かいので良いだろ?」
「あ、うん。ねぇ、これ貸して。」
「あぁ、持って帰って良い。」
わー、本持ってホクホクした顔。可愛い。
蓮に朝飯はどうしたのか聞かれ、電車乗る前に済ませたと言っといた。
「なら、俺飯取ってくるから……龍司のは、そっちに重なってる。」
「……うわー!!ありがとう!!」
「龍司、煩い。」
「あ、はい。これ観て待ってる。」
「ん。」
スウェットに長袖Tシャツのまま、サンダル引っ掛けて行くのね。寒いね。
俺がDVDをセットして、ワクワクしながら眺めていたら春哉に説明を求められたので熱弁しながら特典のDVD鑑賞。蓮はすぐに戻ってきて、朝飯食いながら3人で観る。
その最中。蔵にチャイムの音が響いた。
「……賢悟か?」
「かもね。」
「9時か……絶対、賢悟待ちしてたよ辰彦。」
「道、よく分かったね。」
「ナビだろ。住所教えたからな。」
そう言って、最後の一口を放り込んで迎えに行く蓮。戻ってきたら、大荷物の賢悟と辰彦。
「おはよー。寒いねぇ。」
「お前ら、何か飲むか?」
「あ、うん。俺と賢悟はお茶があれば。」
「ある。座ってろ。」
「ありがとう。」
はい、一気に賑やかです。
賢悟は、誠の寝顔を眺めて同じ様に上半身裸についてテンション上がってます。
「賢悟、ハウス。」
「……龍司の言う事は聞きません。」
両腕でバッテンされた。何こいつぅ。
「龍司、賢悟。お座り。」
「……わふっ。」
「春哉様っ!!わんわんっ!!」
春哉様、さすがです。
気が付けば、蓮と辰彦がコタツをセットし始めていたので俺も手伝い、いつもの面子が勢揃い。1名就寝中だけど。
「はい、恒例お土産配りの時間です。」
「わーい。」
って、反応すんの俺だけっつうね。さみし。
「今回は、人数多かったんで俺が蓮と龍司の分を選んだよ。あ、夏生さんにこれ渡して。」
一升瓶2本ですか。
「うわ、良いの?」
「うん。おっちゃんが、世話になってんなら持ってけって。」
「ホント?ありがとう。」
「いぃえぇ。あ。でね、辰彦が春とマコちゃんの分を選んだよ。」
「……天国と地獄。」
「龍司、いらないの?」
「すっげぇ、いる。ありがとう。」
隣りに座った蓮がそんなにやばいのかと聞いてきたので、セレクトのテンションがおかしいとだけ伝えた。微妙な顔されたので、前にくれたどこの民族だよってお面の話しをしたら納得してくれた。言っておくが、日本で買ってきたやつだからな。丁重に箱に収めて、クローゼットにインしたけどな!!
「では、蓮くーん。」
「マジか。」
「マジだ。えっとぉ……これが、お手伝いさんの分。ご両親の分。」
そう言って、卓上に乗せたのは銘菓と書かれた袋。テレビで見た事あるぞ、これ。
「……有名所のだな。」
「何と、ご近所さんなのです。」
「わざわざ悪いな。」
「何の。初お泊りですから。宜しくお伝え下さい。」
「うん。」
「で、これ蓮の。」
でーん。と口で効果音をつけて、銘菓の上に乗せたのはクマ。テディベア。
「……どこに置けと。」
「良いじゃん。可愛いじゃん。もう1つ、でーん。」
黒と茶色の手の平サイズのクマ。まさか。そう思って蓮を見れば、本人も感づいた様で何とも言えない様な顔で賢悟を見ていた。
「あ、怒んないで。縁結びで有名だっただけ。」
「テディベアがか?」
「うん。ちょっと行った所に、専門店があったの。調べたら、そんな話しがあったからさ。」
「……手触り良いな……高かったろ。」
「そんな事無いよ。安価と手触りが売りだって。」
「そうか……まぁ、ありがとう。」
両手に納まる2体のクマ。何だろう、髪下ろしてるせいか似合わんでもない。
「どういたしましてぇ。はい、龍司。君の番だ。」
「よっしゃ来い!!」
「はい。」
「雑ぅ。」
袋まんま渡されたんだけど。
ガサガサと中を漁れば、割りと結構な量。
「……おぉぅ……手拭だ。」
伸びてきた賢悟の手に戻してみれば、色ごとに並べられた。
「お母さんー、お父さんー、弟ー、龍司。」
淡い桃色と、黒。青と橙の手拭。柄は3種類で共通。松竹梅か、これ。
「おしゃんてぃ。」
「でしょー?あと、これ家族でどーぞ。」
差し出されたのは、蓮と同じ銘菓の袋。
「さんきゅ。今回割りとまとも。」
そう口にしたら、辰彦と親戚のお姉さんに止められたそうだ。グッジョブだぜ。
「じゃ、俺ね。えっと、これは心ちゃんに。」
さっきのテディベアより、一回り大きい真っ白なクマ。真っ赤なリボンが、可愛らしい。
「わぁ、ありがとう。」
「どういたしまして。えっと、これ夏生さん。」
干物か。つまみか。
春哉は、調子乗って飲み過ぎそうって言うから皆で苦笑い。
「で、これ春哉。」
「……凄い!!」
はい、良い笑顔頂きました。さすが辰彦。ツボを分かってる。
辰彦が卓上に置いたのは、茶色のまっさらな紙袋。春哉が中身を見て嬉しそうに言って、一つ一つ卓上に置いていく。
「調味料だな。」
「ご当地系?」
「嬉しい!!」
主婦かってな。
「喜んでくれて良かった。これと……この辺が賢悟の家の辺りのやつ。で、こっちが駅で売ってたやつね。」
うんうん。と頷きながら、辰彦の説明を聞く春哉。そんな春哉に、これもと辰彦が紙を渡した。覗き込めば、何かのレシピ。
「あ、それは姉さんがオススメって言ってたやつ。書いてもらった。」
「わぁ、ありがとう。やってみる。」
「俺に。」
って言ったら、めっちゃ冷めた目で見られた。
「誠は……後でいっか。」
「じゃ、今回はここまで。さぁ、崇めろ。俺達を。」
「ありがとう、辰彦。」
「辰彦グッジョブ。」
「辰彦、ありがとう。」
「どういたしまして。」
「俺を入れてっ!!」
誠の事を気にせず、げらげら笑っていたら唸り声がして皆はっとした。とはいえ、こそこそするのもあれなので、声のボリュームをなるべく下げ各々時間を潰し始める。
まぁ、皆でDVD観るってだけなんだけど。途中だったし。でも、特典のDVDはすぐ終わってしまった。すると、蓮がライブDVDに換えてくれてまた皆で鑑賞。気が付けば、11時を過ぎていた。
つうか、これ。布教だ。ファン増えろ。
「あれ、はやいねぇ。11時だ。」
「昼飯、どうする?」
そんな話しにいくのかなと思っていたら、賢悟がはっとして俺を見た。
「全然違うんだけど、その顔どしたの?」
「……俺は触れない様にしてたのに。」
賢悟の質問に、蓮がそう言った。何の事やらと思っていたら、春哉が困った様に俺を見ていて顔の痣の事を思い出した。
「弟と喧嘩した。」
「……何だ。ついに、春がキレたかと思ったのに。」
そう言った賢悟に、つまらん。って顔された。春哉は、静かに怒るタイプだから。手とか足が出るのは、いざって時だけだから。
「で、お昼ご飯どうする?って話しか。てか、お手伝いさんどしたの?」
「正月休みだ。」
「あぁ。えー、あ。春作ってよ。」
「え?良いけど……。」
急に振られた春哉が、戸惑いつつも蓮を見る。蓮はどうって事ないって顔で見返してた。ヤキモチ?焼かないよ。だって、春哉俺のだし。
「案内する。」
「うん。」
「あ、手伝う。」
「ありがとう。」
俺と賢悟は、邪魔になるだろうし邪魔したくなるだろうから待機です。誠、爆睡中。
「……マコちゃん、起きないねぇ。」
「そろそろ起きるんじゃね?6時位に寝たって。」
「ふぅん……。」
そうこう話しつつ、課題について話しつつ、ついでに見せっこしつつ、のんびり課題をやっていたら蓮が戻ってきた。後は2人に任せて、先に戻ってきたらしい。タイミングの良い蓮を教師に、課題をちまちま進める。ふと、ベッドが軋む音が聞えた。
3人でそちらを見ると、誠がもぞもぞしてる。
「……何あれ、可愛い。」
「待って、蓮探してんじゃね?やめろよ、生々しい。」
「自分で言っておいて……。」
蓮が重い腰を上げ、ベッドの方に3、4歩。
「あ。」
「うわぁ。」
「っと。」
ゆらりと持ち上がった誠の腕が、蓮の首に回って蓮の体制が崩れた。
「……っぶね……起きたのか?」
「……うるせぇ……。」
……あ、寝た。起きるつもりが無いのか、こいつ。
「昼飯、春哉が作ってる。」
「……春哉……何時だ、今……。」
「12時過ぎだよマコちゃん!!」
「……黙れ……くそガキ。」
「ひでぇ。」
ケラケラと賢悟が笑う。今日、ちょっと不機嫌マコちゃん。寝起き良い方なのに。
「なぁ、機嫌悪くね?」
「ねー、寝起き良い方なのに。寝不足?」
「あー、かなぁ?」
「起きろ、誠。何か食べろ。」
「んー……。」
すらりとした腕が蓮から離れてベッドに落ちて、蓮もベッドから離れて少ししたらがばっと誠が起きた。
「……びっくりした……。」
「ぐずる子供の様だったねぇ。」
「いつもだぞ。」
「黙れ蓮。飯は?」
わー、前言撤回。やっぱり、寝起き良いわ。すっきりした顔ってわけじゃないけど。
「あ、マコちゃんのもって言わないと。」
「あ、そうだった。」
卓上を見れば、春哉の携帯は置きっぱなしだったので賢悟が辰彦に電話をした。
「はいはい、よろー。」
「何て?」
「持ってくって。」
俺の隣りに蓮が座って、目の前に賢悟と誠。誠、やっと服着た。
「で、土産は?」
「あ、マコちゃんは辰彦担当だから。」
「そうか。」
蓮、茶。とか言っちゃうマコちゃん。夫かよ。
「ん?コーヒーあるけど。」
「粉ねぇとか言ってたくせに。」
「お前が寝てる間に取ってきたんだ。」
「そーかよ。コーヒー下さい、お兄さん。」
その会話を聞く、俺と賢悟でアイコンタクト。生々しいねと伝え合えた気がする。
蓮がコーヒーを淹れて、こたつに戻ってきたら丁度昼飯担当の2人も戻ってきた。
「はい、お待たせ。」
「親子丼!!」
「寝起きに……。」
「なら食べないで。」
「嘘、食うよ。」
「美味そう。」
「春哉!!嫁に来い!!」
「龍司、黙って。」
「ごめん!!」
そんな感じで、昼飯タイム。誠、何だかんだ食べてます。つうか、マジで美味いんだけど。ねぇ、知ってた?春哉、マジで俺の嫁になるから。マジ自慢出来る嫁だわ。
辰彦から誠への土産は、やっぱり同じ銘菓とお母さんにと花の簪を渡していた。それに合わせて雰囲気の違う和風鞄を2つ。誠、俺はこっちと早速荷物をぶち込んでました。
さて。ぐだぐだとDVD観たり、喋ったりしながら昼飯を食べて俺達はお昼寝タイムに移行します。
「風呂、どうする?」
「起きてからで良いんじゃない?」
「だなー。」
「……じゃ、お休み。」
お前寝過ぎだよ、誠。そんなツッコミを浴びながらも、通常運行の誠君。もぞもぞと蓮のベッドに潜り込んで、即就寝。つか、蓮はどこで寝るんだよってな。
「はやっ。」
「蓮は、どーすんの?」
「どうするって、床だろ。」
まぁ、そうなるよね。可哀想な家主。
皆で人数分の布団を敷いて、蓮以外は着替えをする。まぁ、すぐ寝れる筈もなく。何か眠くなる様な音楽は無いのかって話しになり、蓮がクラシックを掛け始めた。
「……また、この癒し系。」
「これは、寝れる気がする。」
ピアノの繊細な音が、気分を穏やかにさせる。と思いきや、賢悟が普通にちょっかい掛けてくる。
「もー、寝ろよー。言いだしっぺー。」
ケラケラ笑いながら、賢悟とちょっかいを掛け合っていたら春哉と辰彦撃沈。いや、うん。この2人はね、うん。癒し系だね。つか、マジ春哉の寝顔美しすぎない?
「お前ら、寝るなら寝ろよ……。」
「あれ?蓮は起きてるの?」
「んー……俺、別に年末の番組興味無いし。」
「ダメ。一緒に観るの。」
「何で。」
「おいおいレンレン。マジですか。きっと、正月初詣行こうぜって言えないレンレンの為に、俺がせっかく計画したのに。台無しにすんのぉ?」
バカにする様な声で賢悟が蓮に言う。俺は、ぼんやりとそういう事ねと思いながら、黙って蓮と賢悟を交互に見た。
「……そうか。」
蓮は、何か堪えるような表情をした。多分、照れてる。賢悟がニヤニヤしてるから、きっと分かってるんだろう。
「そうだよ。よし、俺は寝る。多分。」
「多分かよ。」
3人もぞもぞととりあえず布団を被って、まだ賢悟がクスクス言ってたけどピアノの音のが勝ってきた。あー、これは、良いね。寝れる――。
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