防壁が完全に崩壊した。でも、今はまだ最後までしない。それだけは守りたい。約束というか、俺が春哉を大事にしたいって決意だから。 　＊＊＊ 　部屋の中は真っ暗だ。暖房器具は床のカーペットと、布団の中にある湯たんぽ。でも、くっついてるから寒くはない。 　寝ころぶ俺の目の前の視界が、春哉でいっぱいになってる。春哉の匂いが、俺を満たしてる。 　最初は、何されるのかと身構えていたら春哉から大胆なキスをされた。ぴったりと、体をくっつけて息が追いつかない位だ。耳に入る春哉の吐息と、俺の口に入ってくる2人分の唾液。興奮材料でしかないけど、理性は保っておきたい。 　俺は、春哉の肩を掴んでぐっと押した。 　「……龍司……？」 　「これ以上は、しないからな。」 　「別に、良いのに。」 　「よかねぇから。でも、その……おさまんねぇから……下脱いで、こっち来て。」 　何をしようとしてるのか、春哉も男だ。分かったんだろう。俺もさっさと脱いで、胡坐で座る。春哉は少し躊躇いながら下を全部脱いで、恐る恐る俺の胡坐の上に乗った。 　「固い。」 　「ちょっと黙ろうかっ!?」 　「何で？」 　「何でもだよ!!俺超キンチョーしてんだからね!?」 　キョトンとした春哉だったけど、すぐに笑顔になった。可愛いとか言われたけど、嬉しくはないぞ。 　春哉に寄り掛かるように言って、少しだけ息で手を温めてから俺は2人分の立ち上がったものを握りこんだ。 　真っ暗な部屋の中、俺と春哉の荒い息遣いだけが耳元で良く聞える。それから、下というか下腹部辺りから聞える何とも卑猥な音。 　「っ、はる、春哉……!!」 　「りゅう、じ!!」 　ぐちゃぐちゃになったそこが、更にぐちゃぐちゃになった。吐き出したものは外気ですぐに冷たくなった。出したは出したけど、お互いおさまらないらしい。 　「ごめんけど、もうちょっと付き合ってよ。」 　「良いよ。」 　今度は春哉を布団に寝かせて、俺はほっそりとした、それでもしっかりとした両足を抱えた。 　「力、入れてて。」 　「ん。」 　暗がりに目が慣れて、春哉の顔が見える。口を押さえてるから、それを外させた。 　「手、握ってて欲しいな。」 　「声、が……。」 　「俺は、聞きたいな。」 　春哉の足の間に入れて、空いてる手と春哉の手を繋いだ。最初はゆっくりと、力加減を調整するみたいに動く。歯を食いしばってる様で、気になった。 　「春哉……。」 　春哉からした少し辛い体勢だろうけど、ぐっと前のめりになって春哉にキスを求めた。項に触れた春哉のもう片方の手が、すごく嬉しく感じた。 　女の子としてるみたいな音がしてきた。繋いだままの手が、春哉の指先が俺の手の甲をぎゅっと掴んだ。 　それでもまだ、刺激が足りなくて。 　「ごめん、ちょっと……足んない。」 　体と手を離して、春哉の両足を抱えなおした。 　「春哉、春哉も握って。ぎゅって、俺の締めて。」 　一瞬困った様な表情を見せたけど、俺の言う通りにしてくれた。俺も春哉の手の上から握りこんだ。 　「ん、もうちょっと……。」 　腰を動かせるギリギリまで力を入れて、腰を引いて打ちつけた。叩いたみたいな音と、春哉の声でこのままいけそうだ。 　「りゅ、りゅうじ……。」 　「え、何？」 　「もう、入れよ？入れて、良いよ？」 　「ダメ、約束、した……したいなら、自分でして。」 　正直見たいし。 　「バカ、かよっ。」 　「バカ、だよっ。」 　やり難いとか、止まれとか。そんな声は無視した。春哉の片手が離れて、もぞもぞと動く。 　「ははっ、春哉、超エロい。」 　「ふざ、けっん、腕、痛いってば……。」 　「待って、俺、もうちょ――っ!!」 　俺だけ先に吐き出した。 　「はー……俺にやらして。」 　「……お前、ホント馬鹿な。」 　おっと、素の春哉出てきちゃった。 　もう一度胡坐の体勢に戻して、春哉に言われた通り指を入れた。人差し指だけ、ゆっくりと。 　「うぅ……。」 　後は、女の子と一緒って言われてもね。とりあえず加減が分らないので、ゆっくりと動かした。 　「龍司？もうちょっと、乱暴にして……。」 　「……ねぇ、もう、マジ黙って。頼むから。」 　指を2本にして、少しだけ動かしやすくなったそこで動かす。俺の首にぎゅうぎゅうしがみついて、喘いでる。でも、一瞬何かに触れた瞬間春哉の声がワントーン上がった。 　「りゅ、りゅうじっ、そこっ、擦って――!!」 　前立腺かここ。覚えた。奥の方にあるんだな。 　俺は指の腹で擦って、たまに押して。指を締め付ける力が強くなったのを見計らって、春哉に舌を出してみた。 　「っ、くたばれっ!!」 　「春哉看取ったらな。」 　舌先が触れて、そのまま絡めて。春哉の手が俺の荷伸びてきて、触って。2人分の吐き出した物で、お互いのシャツを汚した。