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3年生。

 事後報告、というか。あの後、飯を皆で食べたんだけど。  『皆さん、SNSに皆さんの事出てますよ。』  と、桜ちゃんが言って見せてきたのは、俺と春哉がちゅうしてた事や、蓮と誠が寄り添っていた事がイラストと共に表示されていた。  『反応速度速いな。』  なんて、蓮はのんびり言うし。誠は気にしてない様だし。まぁ、顔はのっぺらぼうだし、場所が場所だからそこまで情報が出てないのは良かったな。  皆も、SNSの扱いは気を付けろよ。  ***  夢の国に行った翌日の放課後、報告も兼ねて今日は俺の家に大集合です。誠はバレンタイン終わるまでバイトが詰まっていて、俺は単純にマコママの都合で休みってだけ。蓮?いるよ。予備校サボったって。指環?してるしてる。右手の薬指に着けてるんだけど、賢悟がその手を掴んでマジマジと見てる。  「やるじゃん、レンレン。」  「どうも。」  「ちなみに、おいくら?」  賢悟をじっと見た蓮は、賢悟の耳に囁いた。賢悟の顔が、驚きに染まる。  「何なの。金持ちの金銭感覚何なの?ありえない。無理。」  もうね、その反応で聞くのやめたよね。知らない事があっても良いと思うんだ。  土産は普通に缶に入ったお菓子にした。辰彦の分は、要望通りストラップだ。春哉?夏生さんと心ちゃんにお揃いのパジャマ買ってたよ。着た2人の写メ貰ったけど、くそ可愛かった。可愛かった。待ち受けにしようかと思う位可愛かった。春哉は撮影係だったから、いなかったけど。絶対可愛いよね。  「楽しかったようで何よりだね。」  「まぁ、一部除けば。」  あ、振り向けない。黒い黒い。  「あ、ところでさー。3年になったら忙しくなるわけじゃん?今のうちにやりたい事決めたいんだけど。」  こういう時、賢悟の行動力というか、発言力は凄いと思う。  「……お前ら、そんな余裕あるのか?」  沈黙。  俺は花屋のバイトを増やすし、賢悟も辰彦も受験がある。春哉は就職にしても、勉強に手は抜かないし。蓮と誠も、結構な大学を目指すそうで忙しさは多分俺達より上だ。  「でも、何かしたいよね。前も言ったけど、旅行とか。」  「つっても、受験生だろ?」  「ぐぬ……思い出作ろうよー!!」  「……なら、またウチに来るか?」  「え?」  「泊まりで何かしたいって言うなら、ウチに来れば良い。何もないけどな。電車の量で言ったら、こっちの方が多いし移動には困らないだろ。」  「蓮が、良い人に見える……。」  「元々だろと言い難い言葉だな。」  「でもさぁ、それ俺達お邪魔じゃね?」  「あっ。」  俺の意見に賢悟ははっとして、蓮を見た。  「あぁ、良いんじゃないか?気にしないだろ、あいつ。」  ごもっともで。気にせず堂々と人様のベッドに入る奴だしな。  「それに、その方が経済的な問題も消えるだろ。暇ならモールにでも行けば良いし。プールにでも行くか?電車には乗るが、そんなに遠くないはずだ。」  あー、成る程。と1人納得していたら、賢悟も気が付いたらしい。「そりゃそうだわ。」とか言ってる。  「ん?あ、僕の話し?気にしないで良いのに。」  「ダメ!!この面子で集まる事に意味があるのだ!!そしてプールは心ちゃんが来れる!!」  「……ふふっ、そうだね。ありがとう。」  はい天使ー。天使降臨しましたー。いやぁ、夢の国での春哉も良かったけど制服姿も良いよねぇ。  「きっしょ。何考えてんの、変態。」  「ひでぇ。」  そんな話しをしながら、笑っていたら玄関のチャイムが鳴った。今日は母親が出掛けてるからいないので、俺が出るしかないんですよね。え?理由?あー、何だっけ……あ、そうそう、日帰りツアーだ。町内会のやつ。リンゴもぎ取ってくるって張り切ってた。  「出てくるわ。」  「いてらー。」  賢悟の見送りの声を聞いて、階段を降り玄関の覗き窓から外を見る。  「……おやぁ?」  「こんにちは!!」  「桜ちゃん。どしたの?1人?」  「写真が出来ましたので、お渡ししに。龍太君は、部活ですよ。家の場所は、何回か聞いてましたから。」  「あ、そうなの……上がれば?蓮と春哉いるし。」  「良いんですか?」  「うん。どうぞどうぞ。2階上がれば、話し声聞えると思うから。」  「はい、お邪魔します。」  まさかの闖入者?に、俺はやってしまったと入れてから思った。  賢悟と桜ちゃん。  変な化学変化起きなきゃ良いけど。  ***  お茶を持っていくと、何故か知らないが俺のベッドの上で正座した賢悟と辰彦と桜ちゃん3人が自己紹介し合っていた。  「どぞー。」  「あ、ありがとうございます。えっと、これ。写真です。」  と桜ちゃんが真下あたりにいる春哉に渡そうとしたが、叶わなかった。掻っ攫ったのは、賢悟。クマか。鮭を川でがっさがっさと獲るクマか。動き速過ぎだろ。  「ご開帳!!」  「あっ!!ダメ!!」  春哉の制止空しく、ご開帳。  「何でぇ、良いじゃ……おぉう……。」  賢悟の動きが止まり、何事かと覗き込んだ辰彦と蓮の動きも止まった。  「えっと……。」  「賢悟、大人しく春哉に渡せ。今ならまだ、多分間に合う。」  「多分っすか、蓮様……。」  まさかと思い、写真の束を賢悟の手から奪う。1枚目、一番上の写真。から10枚程。俺と春哉のキスシーン。  「桜ちゃん……ちょっと、俺と部屋出ておこうか……。」  「え。」  桜ちゃんの腕を掴み、蓮にアイコンタクト。蓮は辰彦を連れ部屋の外へ。扉を閉めてすぐ、賢悟の「すいませんでしたー!!」という声が聞えた。  「ご愁傷様。」  「賢悟……今度ばかりは、助けられないよ……。」  「良い奴だったのにな。」  「え、あの、何事ですか?」  「春哉、ぶち切れると俺様春哉様になるんだよ。」  「はぁ……?試験前ではないのにですか?」  それはまた別だよー。と教えていたら、扉が開いた。背中に般若が薄っすら残ってるんですけど。  「ごめんね、桜ちゃん。ちょっと、馬鹿な先輩に自重する様言ったから安心してね。」  笑ってる。笑ってるけど、目が笑ってないよ春哉様。でも、桜ちゃんにはツボだったらしい。  「……俺様春哉様……素敵です。」  言っちゃったよね。  「……龍司、お前後でな。」  ですよね!!  「了解です!!」  部屋に入ると、賢悟は床に倒れてました。倒れてたって言うか、丸くなってた。うつぶせのまま、膝抱えて。辰彦が慰めたけど、今回は自業自得だよと慰めるのもちょっとズレてる気がするけど。  ***  般若も引っ込み、気が付けば夕方。少し早めに解散をして、俺は桜ちゃんを龍太の学校まで送る事にした。まぁ、春哉は心ちゃんのお迎えあるし。後の3人は方向違うから仕方ない。  「わざわざすみません。」  「良いの良いの。龍太に送らせ様として、ごめんな。」  「いえ、どうせこっちの方まで戻らないとでしたから。」  「そうなんだ。」  「はい。あ、あの……。」  「うん?」  「その、やっぱり告白の仕方が気になっちゃって……。」  告白の仕方。あぁ、あの時話してたやつか。春哉が口にしたら消えそうって、微笑んだ話し。  「……普通に、伝えただけだよ。」  「普通に?」  「うん。普通に。」  色とりどりのスプレーマムの花束と、俺の言葉。花言葉は、【あなたを愛する】。花束を胸に、泣きながら笑う春哉。俺の耳に1輪引っ掛けて、傍にいると言ってくれた春哉。優しく笑った春哉。  「ホント、普通に告白したよ。すっげぇ大事にしたい、とか。大好きって思いを込めて告白しただけ。桜ちゃんも、そうなんじゃないの?」  「同じです。龍太君は覚えてないみたいだけど、助けてもらった事があるんです。」  「龍太に?」  「はい。」  桜ちゃんが言うには、入学したての頃らしい。桜ちゃんは周りより背が伸びるのが早かったらしく、今とそう変わらない身長だったらしい。その容姿で、夕方1人お使いに出た帰りだったそうだ。  「何人かに絡まれてしまって……そこに、部活帰りの龍太君が来たんです。」  「へー、王子じゃん。」  「はい。それから、気になってしまって……制服が同じだったので、話し掛けようかとも思ったんですけど……。」  結局、1年掛かっちゃって。と、桜ちゃんは笑った。  夢の国に出掛ける前日、俺は龍太に彼女のどこが好きなのか正直に話せと言って聞いた。  『……1回、助けた事があって。多分、こいつだとは思ってたけど話すきっかけがなかったし、部活も忙しかったから気付いたら1年経ってて。同じクラスになって、話してみて好きかもって。向こうから告白されて、趣味とか知っても驚きはしたけど気持ち悪いとかなかったから。』  何だ、ちゃんと両思いじゃんね。  「俺は、気が付くのに1年掛かっちゃったよ。」  年下の女子と恋愛話をしていたら、いつのまにか中学の近くに着いていた。  「ありがとうございました。」  「あ、そういえばさ。何で直接渡しに来たの?」  「お2人のお写真ですから、龍太君や他の方に見られたら困ると思って。」  「あー、そっか。ごめんね、ありがとうね。」  「いえ、それじゃ。」  「また、遊ぼうな。」  「……はい!!」  ***  日常が通り過ぎ、季節も冬から春へと暦が変わり、俺達は3年生になった。だからと言って変わる事は無く、教室の場所や下駄箱の場所が変わる位だった。  だけど、どこかしら授業に対する姿勢は、人それぞれに変化はあった。進学する人、就職する人。予備校に入ったという話しも、最近聞く様になった。  桜が散って、青葉に変わり。気温が上がり、雨が増え始めたなと気が付けば、いつの間にかもう6月に入っていた。相変わらず、龍司も誠も賢悟も辰彦も俺と一緒にいてくれている。  ***  「なぁ、ふと思ったんだけどさ。俺があげたブレスレット、どうした?」  昼休みの最中、誠が身に着けている指環を見て思い出した。あれから、春哉の腕に着いてるのを見た事がない。  「あぁ、大事にしまってあるよ?」  「何で着けないの?」  「だって、貰ったの冬だったし。長袖だったから。そろそろ出そうかなとは、思ってたけど。」  「ブレスレットって?」  「龍司がね、クリスマスにくれたんだよ。」  「……あ、俺が店紹介したやつか。」  「いつの間に買ってたの?龍司。」  「ん?えー?バイト帰りだったかな。近かったからね。着けてよー、お願いだからー。」  「分かったってば。」  最近、外でこうして集まる事が少なくなった。本当に、学校で位になってしまった。蓮と誠はよく会ってるらしいけど、俺達とは殆ど会えていない。  まぁ、俺はバイト先のマコママの店でたまに一緒に働いてるけど。  蓮と誠は、結局同じ大学を目指すらしい。一緒に暮らすとかどうのとかは、とりあえずシェアって事で両方の両親に話したらしい。でも、付き合ってる事は言わなかったそうだ。特に、蓮の両親が予想出来ないからだって。誠の両親には、話したらしい。お父さんは困っていたそうだけど、息子が決めたならと承諾したそうだ。マコママは……元々知ってたから、2人の味方に付いてたって。  賢悟も美容師になると張り切っているし、辰彦もそんな賢悟を見守りながら保育士になる為に頑張ってる。予備校に行く余裕は無いからと、春哉と誠に教わったりしてる。  俺は、バイトを増やした。休みは水曜日と、金曜日。あとはずっと、バイトに出てマコママに花の事を教わってる。  だから、最近。春哉は1人で帰ってる。それが、俺には淋しい。本人は気にしてないみたいだけど、俺が淋しい。ブレスレット、着けてくれたらちょっと頑張れそう。かも、しれない、です。  「すれ違い生活、辛い……。」  ぽつりと出てしまった言葉。旧校舎の教室内がシンとしてしまい、俺の頭に春哉の手が乗った。  「前に話したでしょ?逢いにおいで、僕も逢いに行くよ。って。」  ね?と言われて頭撫でられて微笑まれたら、頷くしかない。水曜日と金曜日だけは、春哉に捧げよう。  「おい、そこのバカップル。俺が砂糖吐きそうだから、そろそろ止めろ。」  「……右の薬指に毎日欠かさず指環着けてるくせに何言ってんだか。」  「羨ましいなら、買ってやれよ。」  「ぐぬ……誠に口で勝ってみたい!!」  「手でも勝てるわけねぇだろ。」  「くっ……マコちゃんの意地悪!!」  「いやいや、超くだらないわー。」  「だねー。」  あぁ、そうそう。こういう感じが俺達だよな。あと1年もないけど、大事にしないと。  ***  受験生になった俺達からしたら、梅雨が明けると夏になるのはあっという間だった。中間テストと期末テスト。希望者は模試まで受けて、クラスというか3年全体が追い込みに向かってまっしぐらになっているのを感じる。それと平行して、最後の体育祭と文化祭にも意識が向かってる。  「夏休み、無理そうだね。」  「そうだね。」  「特に蓮と誠な。」  「あの2人はねぇ……。」  今日は水曜日。久し振りに外で喋ってる。でも、蓮と誠はいない。蓮は予備校で、誠はバイトだ。バイトを増やした俺とは逆に、誠は減らした。  「淋しいねぇ。」  騒がしい店内で、俺達の席だけ静かになった感じがした。  そろそろ夏休みになる。相変わらず、蓮の様子は誠から聞く位で俺達の誰かに連絡が来た話しは無い。春哉のブレスレットが眩しい。  「っ、龍司?どうしたの?」  急に触ったせいで、春哉の体がびくっとした。相変わらず、細いな。  「……つまんねぇなぁ。」  「……そうだね。でも、2人共頑張ってるんだから。それに、君も、賢悟と辰彦も。皆頑張ってるんだから、せめて邪魔はしない様にしよう?」  春哉の腕に着いてる為か、シルバーの部分が人肌になってる。これを選んで良かった、よく似合ってる。  「そうだよ、龍司。」  「そうそう。」  「分かってるけどさ。」  それでもやっぱり、いつもの面子が揃わないと淋しいしつまらなく感じてしまう。ワガママ、なんだろうな。  ついでに言うと、俺達の中で一番最初に入試をするのは俺と辰彦と賢悟だ。夏休み明け早々に、AO入試がある。まぁ、単純に金が無いってだけなんだけど。願書とかは、提出済みだ。  俺達こそ遊んでて良いのかとは思うけど、面接と書類選考とかだから落ちた時の為に一応勉強はしているっていう状況だ。担任には、就職活動してると思って面接受けろって言われた。受かったらラッキーだと思え、だって。落ちたら一般で、11月頃だ。  4人で暗く沈んでいたら、俺の携帯が鳴った。電話だ。表示には、【前原 蓮】。  「もしもーし。調子どうよ。」  『まぁまぁ、だな。模試の判定も合格圏内キープしてるから、このまま何事もなければいけると思う。』  「そっかそっか。で、どうかしたの?」  『あぁ、それで俺の目途は立ったから、夏休み中に1週間位ならなんとかなりそうなんだ。』  「……マジで!?」  『それ逃すと、予備校と模試の繰り返しだから……まぁ、息抜き程度には休むけど長期って言ったらそれしかなくて。だから、今のうちに連絡しておこうと思ってな。』  「おぉ……さすが進学校。厳しい日程だな。」  『進学校っていう体面もあるからな、仕方ないと腹括ってる。これ、賢悟にも言った方が良いのか?』  「あー、そうだねぇ……グループで送れば良いんじゃね?」  『なら、後で送る。予備校行くから切るな。』  「お、いってらっしゃーい。」  「何?誰?」  「蓮。夏休み中、1週間位なら遊べるって。今から予備校だから、また後でグループで連絡するってさ。」  「まじか。さすが蓮様だわ。」  「誠、大丈夫かな。」  「蓮様っていう家庭教師付いてるんでしょ?模試の調子も良いって、言ってたし……本人来ないと何とも言えないね。」  一瞬上がったテンションが、また下がってしまった。  下がったテンションは上がる事なく、今日は解散になった。  夕方の道を走るバスの中、春哉は本を読まずただ俺の隣に座っていた。何も話さなかったけど、多分俺が淋しがってたりモヤモヤ考えてる事を分かってたんだろう。俺はそれが嬉しくて、安心出来て、少し泣きそうになった。  ***  夕方のバスの中、龍司はじっと何かを考えてる風に見えた。高校入試とは訳が違う、将来を決める為の入試。俺は就職だから、どういう気持ちかは分からない。分からないからこそ、淋しいと言う龍司の隣にいる事しか出来ない。  少し、辛い。  皆、受かって欲しい。  また、6人で。不安なんて無い日常を過ごしたい。  ***  蓮からの電話が来た夜。グループラインが騒がしくなった。1週間、蓮の家に勉強ついでに泊まろうかという話しになっているけど、そうすると心ちゃんどうすんのという議題だ。  【なら、俺の家に来いよ。】  そう送ってきたのは、誠だった。  去年のクリスマスの様に、母親と寝れば良い。そう言っている。   春【でも、夏生がなぁ。】  賢悟【それな。春通う?】   蓮【それこそ面倒だろ。】  辰彦【そうだよ。】  そりゃそうだわ。   誠【俺の家に、迎えに来てもらえよ。】  賢悟【あ。】  辰彦【あ。】  龍司【その手があったか。】   春【まぁ、確かに誠の家の方が近いけど……あ、夏生帰って来た。話してみる。】  春哉が落ちて、連絡待ち。その間、1週間で何をするかを話し合う。  プールは行きたいと賢悟が言って、それしかやる事ないと誠がツッコミを入れてる。  龍司【俺は、この面子で遊べたら何でも良いや。】  と俺が送ったら、一斉に全員から【人タラシ】と送られて来た。1回やそこらじゃない。画面一杯それだ。変な所で息が合ってるな、こいつら。   春【ただいま。何か、夏生がこのラインに入りたいって言ってるんだけど。】  まさかの。  賢悟【良いよー。】  良いんだ、設立者賢悟よ。   夏【よー、ガキ共。】  早いなおい。  こんばんは。と皆夏生さんに挨拶を送って、夏生さんも挨拶を返してきた。   夏【1週間勉強ついでに遊ぶらしいな。プール行くとかあるけど、俺も行きたい。】  賢悟【ぜひぜひ。心ちゃんもどうです?】   夏【賢悟……あ、チビっ子か。】  賢悟【チビでーす。】  開き直った。さすが賢悟。   夏【でもなぁ、受験生でこんな遊んでて良いのか?】  夏生さんの心配そうな言葉に、蓮と誠が答えている。俺と辰彦も加勢して、夏生さんは納得したらしい。   夏【まぁ、俺が言える立場じゃねぇし、高校生なんて遊びたい盛りだしなぁ。1週間送り迎えなら、全然構わねぇけど蓮の家の場所聞いたけどちと遠いな。実は夜間の学校が、誠の家からちょっとずれたとこにあんだよ。】  へー、初耳。って事は、職場もその近辺なのか。  夏生さん登場により、予定はあっさりと決まった。  1週間、誠の家に行こうという話しになった。   誠【あ、ちょっと待て。母親に聞くの忘れた。】  おいー。  とか思ってたら、すぐにまた誠のラインが入った。   誠【良いわよー。心ちゃんも来るのかしら?またお洋服買ってあげたいのだけど。】  誠かと思ったら、マコママだった。   夏【そんな、滅相もない。以前はありがとうございました。】   誠【あら?夏って、夏生さん?ご無沙汰ねぇ。】   夏【ご無沙汰してます。】   誠【お手紙ありがとうねぇ。マメな人なのね、偉いわぁ。】   夏【どもっす。奥さんこそ、心に良くして頂いて。ありがとうございます。】  何か知らないが、大人空間広がり始めて高校生の俺達傍観中です。  しばらく大人のやりとりが続いて、洗濯物は自分達でするなら勝手に使って良いという事になった。マコママ曰く、何事も大人数の方が楽しいからだそうだ。   誠【引っ込んだ。何話したか見るから、ちょっと待て。】  お帰り誠。  また誠の帰りを待つ間、何する?という話しに戻った。心ちゃんもいるんだから、水族館も良いねなんて話しが出た。   誠【中々な話しだな。洗濯の話し、ラインで見ると思わなかった。】  賢悟【それなー。】   誠【賢悟、お前返事面倒になってんだろ。】  賢悟【ばれたー。】  辰彦【賢悟、真面目に。】  賢悟【はーい。】  賢悟、辰彦に怒られた。  賢悟【あれ?春は?】   夏【あ、風呂行ってる。】  龍司【風呂。】  賢悟【龍司が滾ってる。】   夏【てめぇ。】  龍司【滾ってません!!】   夏【妄想してみろ、もぐからな。】  龍司【何を!?】  賢悟【義兄弟の喧嘩。】   夏【チビっ子、俺と再会した日が最後だと思え。】  賢悟【やべぇ。物理的に抹消される。】   誠【傍から見てると、嫁姑戦争なんだけど。】   蓮【お前ら元気だな。】   誠【なぁ、俺の家来るなら誰か飯の準備しろよ。】  賢悟【それ春。】  辰彦【春哉だね。】   蓮【春哉だな。】  龍司【春哉のご飯おいしい。】   夏【龍司、覚えてろ。】  龍司【え、普通じゃないっすか!!】  騒がしいグループラインが終わったのは、12時近く。途中【春、沈没。】って夏生さんが送って来た時は笑った。  高校生最後の夏休み。1週間の泊まり。楽しみになって来た。

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