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そういうこと
なんだか良く分からないけど…俺はどうやら女だと思われていたらしい……
まぁ,慣れてはいるけれど…
そもそもこの人は俺が女だと思ってたのに家に上げたのか?
男はみんな狼!とか自分で言っていたくせに…
俺は俺の作った料理を食べながら考える
美味い…似ている食材だけれどやっぱり味は違う,これもこれでいける……
「さっきはホントごめんね…」
ご飯を食べてる最中,彼はまた謝ってきた
「気にしないで下さいって…」
俺は呆れつつもコレを食べ終わったらどうしようかと,思考を巡らせた
そんな俺を見てなのか,それともたまたまなのか,彼は「暫く泊まってく?一緒に帰る方法探そうか?」と声を掛けてくれる
俺は暫く目を見開いてから思わずクスッと笑いそうになる
実際笑えないんだけれど…
けど彼はそれを察したのか「何かおかしな事言ったかな?」なんてしゅんっとしている
「いえ,本当に親切なんだな…と。俺を泊めて下さってもメリットなんて無いのに…」
俺がそう言うと彼の表情は暗くなった
あれ……?
「そんな事無いよ。俺は最低な人間だよ…」
彼は真剣な眼差しで俺を見つめて来る
「俺ね,君をここに呼んだ時,確かに話したいって気持ちが大きかった。お礼なんてのは口実で本当はもっと話したいって思ってたんだ。
でもそれ以外の目的もあったんだよ……」
「目的…?」
俺は首を傾げる
「うん…下心があったんだ。
君はね…俺の大好きだった人とそっくりで…話したいって気持ちの反面に下心があった。最低でしょ…身代わりみたいなことしようとしてたなんて…」
……少なからずその話を聞いて驚いたしショックだった
でも,その話を聞いて俺も最低な事を思いついてしまった
だから俺も同類…いや,それを打ち明けようとしないからそれ以上に最低なのかもしれない…
「そんな事無いですよ,こうやって話してくれてるんです貴方が親切なのは事実です」
俺の言葉に彼は安心した様な顔をしている
それからすぐにハッとなり
「で,でもそんな事考えてた相手の家には泊まりにくいよね,ホテルでも用意する?」
なんてあたふたしていた。
おれはその言葉にふるふると首を横に振る
「ヤマトさんさえ宜しければココに泊めてください。勿論タダでとは言いません」
彼はその言葉に首を傾げた
「俺はお金も宛も有りません。正直お荷物です。
でも俺には肉体があります。炊事洗濯全般…教えてもらえればすぐに覚えれます。あと……」
俺はそこで口篭る
彼は心配そうに俺を見つめる
「あと…その,そういう事とかも……」
「そういうこと?」
俺は自分自身で顔が熱くなるのがわかった
「そ,そういう目的で俺をココに連れてきたんですよね…でしたら家賃代としてそういう事…努めさせて戴きます…
あ,でも女の子じゃなきゃ嫌でしたらそれはなしでこき使って下さっても…!!」
俺は不安になりながらも彼の顔を見ると彼は顔を真っ赤にしていた
「あ、あの……」
「まじ…で?」
「マジです……」
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