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自覚
「レイラって見た目に寄らず経験豊富な感じ…?」
耳朶を甘噛みされながらそう問われる
見た目は確かに俺は幼く見えるかもだけど…
「と…歳相応の……んぅ」
いや…同い年のひとに同じ経験あるかと問えば大半アレは無いだろうけど…
でも経験あるなしで言えば歳相応だと俺は思う
「ぁ…そう言えばレイラ何歳なの?俺より年下に見えるけど…歳相応って…」
俺はハァハァと細かく呼吸をしながら首を傾げる
まず大和さんの年齢が分からないので年上か年下か言うのは出来ない
「24ですけど……」
俺が答えると今度は大和さんが目を見開いて驚愕を露わにする
「え!?」
俺は更に首を傾げる
「7歳も歳上なの…その見た目で……?」
俺は思わずムッとする
童顔なのは自覚してる,女っぽいって言われるのも自覚してる
けどわざわざというか,いちいちそれを言わなくったっていいじゃないか,この人は…
「年下好きでしたか?すいませんね,実は24のおっさん間際の大人で」
俺はプイツとそっぽを向く
なんだかモヤモヤする
「違う違う。驚いただけ…24歳でも好きだよ…」
そう言って優しく抱き締められる
好きって言葉を聞いてさっきからバクバクと五月蝿い位に心臓が鳴ってる
どうにかなりそう…
俺はギュッと彼の抱き締めてくる腕にしがみつく
出会って間もないのに……
俺,この人の事好きになっちゃったんだ…
そう自覚した途端凄く凄く彼が愛おしく思えてきた
こうやって抱き締められてるのが嬉しくて嬉しくて…
でも同時に昨日の言葉を思い出す…
そうだ,俺…レインって言う人の身代わりなんだ
途端に胸がズキズキと痛み出す
「れーいら」
俺がずっと大和さんの腕に額を押し付けていると軽々と持ち上げられ向かい合うように座らせられた
「何ですか?」
俺は平静を装い返答する
「もし,帰り方見つかったらすぐ帰っちゃう?」
と寂しそうな顔をされる
正直俺は帰りたくない
この人のそばにいたしに何より帰ったらまた空っぽな日々を繰り返すことになる
「帰りたくないです…」
俺はギュッと大和さんの首元に抱きつく
この人のそばにいたい…
「ん…嬉しい。でも家族とか心配しないかな…」
「家族は居ません。親は俺が小さい頃から居ません,」
「そうなの…?ほら,友達とか…それこそ恋人…とか」
「居ません。今は居ません…」
「そっか」
大和さんの声が何処か寂しそうな気がした
そして俺の背中に腕を回して優しく撫でてくれる
身代わりでもいい。この人に必要とされるなら…………
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