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プロローグ 萩の記憶

また今日も、延々繰り返される、暴力。 「オラっ、もっとちゃんと立たねぇか! ヤりずれぇだろうがっ!」 「もういっそのこと床についてバックで良くねぇか?」 狭い狭いコンクリートの、まるで地下牢にような部屋に3人の男。中心には、細く小さな子供が1人。……名前は一華。 男の1人が言ったように、床に膝をつかせて四つん這いにさせる。させるや否や、上と下の口に即座に突っ込んだ。 「んっ」 「うるせぇ、声出すんじゃねぇよ! バレんだろうがっ!!」 2人の男から蹂躙される一華の口から「声」と呼ぶにはあまりにも小さい呻きが漏れる。幹部から言われている仕事の成果も上げずにここに来ている彼らにとって、今の状態を誰かに見られるのは少しまずいものがある。見つかればキツい罰は免れない。 そんな2人とって、とにかく見つかるかもしれない要素は少しでも排除しておきたいのだ。 「くそっ、…くそ!」 自分たちの口から声が漏れているのは棚に上げ、夢中で腰を打ち付ける。 暗い部屋に、肌のぶつかる音と男2人の荒い息遣いだけがこだまして、更に嫌な雰囲気にさせる。時折、後ろで腰を振る男が犯している子の尻を平手打ちする音も、耳を塞ぎたくなる一因だ。 一華の事は道具か何かのように思っている彼ら2人。上も下もいいように犯され、呼吸がうまくできなくなって意識が飛びかけた所で、やっと男2人の蹂躙は終わった。 声が、聞こえる。 何も、わからない。…あれ、もうおわった、の……かな? 1かいで、おわった…。いたいの、今日は…1かい……。 「そういやコイツ、名前あんのか?」 「さすがにあんだろ、名前くらい」 …な、まえ…? ぼくの…? 「っ…」 あ、れ。こえが、でないや。 「いやでも御田さんが名前呼んでるの、聞いたことねーぜ」 「じゃ、ないんじゃね」 駄弁りながら自分たちのみの後処理をする男2人。 結局、回数で言えば計3回ずつ、交互に上と下の口を犯した2人は、どうやら満足したような様子だった。既に力なく冷たいコンクリートに倒れこんでいる一華。息も絶え絶えで、呼吸すら辛くなってくる。 「てか早く行かねーと齋藤さんが」 「っあ、やべ忘れてた」 足早に一華の部屋からいなくなった2人に気付かず、小さな、今にも消え入りそうな声をひねり出す。 「ぼ…くの、おなまえ…一華、だ…よ……」 その声が、勿論誰にも届いていないと知らないままで。

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