131 / 134
第131話*
達する寸前、晴斗は素早く紙縒りを引き抜いて紐を外してやった。そして嬌声を上げ続ける恋人の口を塞ぎつつ、最奥に熱を放った。
「んっ、んんぅ……っ!」
くぐもった悲鳴を漏らし、打ち震える九尾。解放された陰茎から高々と白濁が噴き上がり、腹の間に飛び散った。
「う、ん……ああ……」
欲望の全てを出し切るべく、二、三度腰を動かし、それからゆっくり己を引き抜いた。
九尾はすっかり力が抜けてしまったのか、抱きついていた腕をパタリと落とし、ぐったりと身体を布団に沈み込ませた。しどけない格好のまま浅い呼吸を繰り返しており、目の焦点もぼやけてしまっている。
晴斗は九尾の頬に軽く口づけ、聞いた。
「どうだったよ? 今のプレイは。意外とよくなかったか?」
「…………」
涙に濡れた目でチラリとこちらを見てから、九尾は視線を逸らした。そしてやや躊躇いながら、こう呟いた。
「……悪くはない、と思う……」
「あ、やっぱり? 九尾ならそう言ってくれると思ってたよ。じゃあまた今度やってみような」
「……時々でいい。毎回これだと辛い……」
「慣れれば気持ちよくなるって。もっと本格的な緊縛プレイとか、大人の道具を使ったプレイもあるしさ。これから少しずつ試していこうぜ」
「……はあ。本当に今は、性交渉ひとつにしてもいろいろなやり方があるんだな……」
「そうだよ。現代に生きるって楽しいだろ? ホント、三途の川を渡らなくてよかったよ」
「晴斗……」
「これからずっと、一緒に楽しく生きていこうな……九尾」
そう言ったら、九尾は幸せそうに微笑んでくれた。
ともだちにシェアしよう!