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第6話
声の主は、静かな店内をずかずかと音を立ててオレたちの席にやって来た。
「遠藤ホモ、久しぶりー。最近学校で見てないけど、元気そうじゃん」
「三輪……」
オレが呆然としていると、向かいの席に座っていた浩一が憤然として立ち上がった。
「おい、人になんて呼び方をしてるんだ」
オレははっとして、浩一を止めようとした。
「い、いいんだっ。ちょっと冗談みたいに言われてるだけで……」
でも、それがまずかった。
「冗談?いい度胸だね」
三輪が目を細める。
「遠藤ホモはさ、私の彼氏を」
「やめて、それだけは……」
オレの弱々しい声なんて、聞こえもしないかのように。
「寝取ったんだよ」
三輪は店中に響く大きな声で、そう言った。
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