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風呂場で 2
背中を洗い終わると、スポンジは体の前に回った。
首を洗われると同時に、なぜかリョウの空いている左手がナオトのお腹のあたりに抱きしめるようにして回され、ナオトは反射的に身を固くしてしまう。
あ、でも、これって僕がして欲しかったことなんじゃ……。
そう、ナオトが一大決心をして逆ソープを訪れたのは、体を洗ってもらうためだけでなく、こんなふうにして抱きしめてもらうためでもあったのだ。
今、まさにナオトが望んでいたことをしてもらっているのだから、せっかくだからこの状況を堪能しなければもったいない。
それに、リョウもリラックスして楽しめばいいって言ってくれてたし。
この部屋に来るまでのエレベーターの中で言われたことも思い出して、ナオトは深呼吸して体の力を抜いた。
ナオトがそんなふうにリラックスするのを待っていてくれたのだろうか。
ナオトが体の力を抜くと、リョウはいったんナオトから手を離して自分の椅子をナオトの近くに移動させると、ナオトの足を後ろから自分の両足で挟み込むようにして、ナオトの背中に胸をくっつけるようにして抱きかかえ直した。
わっ、密着しすぎ。
全身ぴったりというほどではないけれども、体の大部分がくっついていて、しかも背中にボディーソープの泡がついているために、リョウが少し動くだけでぬるぬるとした艶めかしい感触がして、相手が同性とはいえ妙な気持ちになりそうだ。
ああ、でも。
ナオトよりも体の大きいリョウにこんなふうに抱きしめられるのは、想像していた以上に心地よかった。
体中彼のぬくもりに包まれ、大切に守られて、まるで愛されているかのような気分。
男としては情けないことかもしれないけれども、癖になりそうなほどに気持ちがいい。
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