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風呂場で 4☆
洗い足りないところなんて、なんだか床屋みたいだなと思いつつ一応考えてみたが、特に洗い足りないところは思いつかない。
「いえ、ないです」
そう答えると、リョウはまた、にっこりと微笑んだ。
「でしたら、私が洗い足りていないと思うところを洗わせていただいてよろしいですか?」
「はい」
「ありがとうございます」
ナオトがうなずくと、リョウはなぜか礼を言って立ち上がると、ナオトの後ろの椅子に座り直し、さっきと同じように体をくっつけて、左手だけでなくスポンジを持った右手も使って、ナオトをしっかりと抱きしめてくれた。
それをうれしいと思った次の瞬間、リョウが持ったスポンジがするっとナオトの左脇の下に入り込んだ。
「ちょっ……」
あまりのくすぐったさにリョウを止めかけたが、そういえば確かにこの辺りは洗ってもらってなかったと気付く。
仕方なく、ナオトはリョウが洗いやすいように左腕を上げた。
きっと足の指の時と同じように、少しだけ我慢していればすぐに終わると思ったのだが、リョウは今度はやけに丁寧に洗っていて、なかなか終わってくれそうにない。
あげくの果てにスポンジではなく、指先で脇の下を擦られ、たまらずにびくっとなって上げていた腕を下ろしてしまう。
そんなナオトの様子がおかしかったのか、リョウはくすっと小さく笑って左脇の下を洗うのをやめてくれる。
けれどもナオトには、それでほっとする余裕もなくなっていた。
う、うそだろ……。今の、まさか……。
リョウが指先で脇の下に触れた瞬間感じたのは、くすぐったさだけではなかったのではないか。
くすぐったさと紙一重ではあるが明確に違う、もどかしいような快感がありはしなかったか。
ナオトが混乱している間に、リョウはスポンジを左手に持ち替え、右手でナオトの右腕をつかんで上げさせた。
そうして今度は、ナオトの右の脇の下を洗い始めた。
「やっ……」
このまま右まで洗われてしまったら、さっき感じかけた快感を、今度こそまともに感じてしまうに違いない。
「そ、そこは洗ってもらいました!」
「ええ、けれど洗い足りていませんでしたから」
ナオトの必死の抵抗を、リョウはさらりと流してしまった。
「私が洗い足りていないと思うところを洗ってもいいとおっしゃいましたよね?」
ナオトの耳元でそう囁くと、リョウは再びスポンジを動かし始めた。
一度意識してしまったせいなのか、今度は最初から快感がくすぐったさを上回っていた。
脇の下で感じる人がいることは知識としては知っていたが、まさか自分もそうだとは思いもしなかった。
心なしか股間のものまで反応しかけてきて、このままではまずいと思うのだが、体が動かない。
そうこうしているうちに、リョウはようやくナオトを解放してくれた。
どうにか股間のものを落ち着かせなければと、ナオトは深呼吸を繰り返す。
「そうですね……他に洗い足りないところは……」
「い、いえ、もう十分洗ってもらいましたから……」
考えるそぶりのリョウを、ナオトは慌てて止めようとしたが、リョウはそれにはかまわず「ああ、そうだ」とつぶやいた。
「ここを洗っていませんね」
そう言ってリョウが左手のスポンジで洗い始めたのは、なんとナオトの乳首だった。
「やっ、そんなところ洗わなくていいっ……!」
「そうですか?
でもここは洗って欲しそうですよ?
ほら、こんなにも健気に立ち上がって、洗って欲しいって主張しています」
そういいながらリョウが空いている右手で軽くはじいた右の乳首は、リョウが言う通りに、小さいながらもぷっくりと膨らんで立ち上がっている。
「うそ……」
ナオトが驚いて呆然としているうちに、リョウはスポンジを置いて、両手でナオトの乳首をつまんだ。
そのままきゅっと強くつままれたり、爪で軽くひっかかれたり、優しく撫でられたりしていると、脇の下を洗われていたときよりも、もっとダイレクトな快感が沸き上がってくる。
「やっ……」
口ではそういうものの、本気で抵抗することが出来ない。
だって、感じてる。
乳首触られてるだけなのに、自分でアレを触ってる時よりもずっと。
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