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洗ってもいい?☆

どちらからともなく唇が離れたときには、ナオトはすっかり息が上がっていた。 「出ようか」 リョウの言葉にうなずいて、ナオトは浴槽から出た。 「ナオトはこっち座って」 リョウに言われるままに、ナオトは凹型の椅子の方に座った。 「洗うね」 リョウはナオトに声をかけると、ボディーソープを泡立てたスポンジでナオトの体を洗い始めた。 これも店で使っているものだと言っていたボディーソープはやはりバニラの甘い香りで、この前のホテルのボディーソープよりさらにふわふわに泡立っていて気持ちがいい。 ……あれ? なんか洗うの早くない? 気付けばリョウはすでにナオトの上半身を洗い終わり、足を洗い始めている。 この前の丁寧な洗い方とはまったく違う手早い洗い方は、いかにも仕事といった事務的な感じがするようで、何だか寂しい。 そうこうしている間に、リョウはさっさとナオトの体を洗い終えてスポンジを置いた。 ナオトが思わず「えっ」と声を上げてしまうと、リョウはくすっと笑った。 「大丈夫、これで終わりじゃないから。  今からもっとちゃんと洗っていくからね」 「あ、はい、すみません……」 自分の勘違いに恥ずかしくなりながらも、もっと洗ってもらえると分かってほっとしていると、リョウはナオトの後ろに普通の椅子を持ってきて、前と同じように体をぴったりとくっつけてナオトを抱きかかえた。 好きだと自覚してしまったせいか、そんなふうに抱きかかえられると苦しいくらいにどきどきする。 けれどもそれもつかの間、いきなりリョウの手のひらで直に脇腹のあたりを撫でられ、ナオトは飛び上がりそうになるほど驚く。 ナオトが身を震わせたのはリョウにも分かったとは思うのだが、リョウはかまわず両手のひらでナオトの体を撫でていく。 手のひらで体を洗っているかのように泡を塗り広げられると、おかしくなりそうなくらいに気持ちがよくて、股間のものが反応してしまうのをどうすることも出来ない。 胸を撫でるリョウの手が、自然なふうを装いつつそのくせわざとらしく、指の根本を一本ずつ引っかけるようにして乳首を撫でていき、ナオトはたまらず声を上げる。 リョウはそんなナオトを見てくすっと笑うと、すでに立ち上がっていたナオトの乳首を両手の指できゅっとつまんでくりくりと刺激しだした。 「やっ…、それ、洗うって言わない……」 ナオトのそんなささいな抵抗すらもリョウにはおかしかったらしい。 「洗ってるでしょ?  ナオトのかわいい乳首、ちゃんとこうやってきれいにしてあげてるんだよ」 からかうようにそんなことを言われて悔しいはずなのに、どうしてだろう。 背筋を走るぞくぞくとした得体の知れない寒気のようなものが、まるで快感であるかのように思えてしまう。 「それとも……ナオトはこんなふうに洗われるのは嫌い?」 さっきまでからかっていたのに、急にそんなふうに不安そうな声を出すのはずるいとナオトは思う。 けれどもそんな不安そうな声にきゅんとしてしまった自分は相当重傷だ。 「いえ……好きです……」 洗われることにかこつけて、ナオトは密かに本心を吐露する。 面と向かって言ってしまったらリョウの迷惑になるだろうけど、これくらいは許してもらいたい。 「ん、いい子だね。  じゃあ、もっと洗ってあげるね」 そう言うとリョウは、自分の椅子を持ってナオトの左側に移動した。 そうして置いてあったスポンジにボディーソープを足して泡を作って、それをたっぷりと手に取った。 「えっ……!」 その手がいきなり前後両方から股間に差し入れられて、ナオトは驚きの声をあげる。 実物を見たことがなかったので気が付かなかったのだが、どうやらナオトが座らされた椅子は、ソープランドで使われている俗に言うスケベ椅子というものだったらしい。 男が感じるところが存分に刺激できるように座面がくぼんでいるその椅子の威力を、ナオトは身をもって感じていた。 リョウの泡にまみれた手で、竿の部分だけでなく下の袋や会陰までくまなく洗われて、ナオトは早々に音を上げる。 「んぁっ……、も、イキそ……!」 そう声に出した途端、リョウの手が止まり、ナオトのものの根本をきゅっと握った。 「まだイッちゃだめだよ」 ちょっと意地悪な感じで、リョウが囁く。 「え、なんで……」 「まだ、ここを洗ってないからね」 そう言いながらリョウは、ナオトの後ろのつぼみをすっと撫でた。 「え……」 ゲイ向けの小説を読んだから、その中に感じるところがあることは知っている。 読んだ時にそこをリョウに触ってもらうことや、そこにリョウのものを入れられるところを想像して興奮したのは確かだけれど、同時にそんなところに何かを入れるのは正直怖いなと思ったことも確かだ。 「ここ、洗ってもいい?」 そうリョウに聞かれて、ナオトはしばらく迷った。 けれども、今日は最後の思い出を作ると決めたのだ。 リョウがしてくれること、その一つ一つを大切にしたい。 だから怖いけれども、リョウが洗ってくれると言うのなら洗って欲しい、というか、触って欲しいと思う。

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