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怖い

「う、ん」 朝日で目を覚ますと、隣には誰も 居なかった。体はとても綺麗に なっていて、何事もなかったかのよう だ。いっそ夢なら良かったのにと 思ったが、体にある赤い模様が 現実だという証拠だ。 (帝には綺麗な女性がいるのに) あの日見た女性は本当に綺麗で 自分が勝てるとは到底思えない。 なのに帝は激しく求めた。 (側室にしようとしているのか) 嫌な考えが頭の中を支配する。 まずはお手洗いに行こうと寝床を 離れようとしたその時、左足に 違和感を感じた。布団を取ると 鎖がついているのが見えた。怖くなり それを取ろうとしても全く意味が なかった。諦めて数分が経った後 監視人の誠様が入って来た。 「鎖はお手洗いかお風呂に行く以外は  取るなと言われております。帝が  このような行為をしてしまい  申し訳ございません」 「誠様、頭を上げて下さい。  私は大丈夫ですから」 「亮様は帝にとって大事なお方。  私のような者に様はつけなくて  もよいのです」 お手洗いに行って下さいと言って 鎖を外してくれた。寝床に戻ると また鎖をつけられてしまった。 何もする事がない僕は本を持って 来てもらい、読んでいく事にした。

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