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始めての仕事
「今日からここを取りまとめる
事になった谷川亮、女官7位だ。
これからよろしく頼む」
「はい。女官7位様」
挨拶を終えて席に座った。僕が取り仕切る
のは女官10位から8位の着物を扱っている
班だ。まずは周りの物を整理し次に着物が
保管されている部屋に行く事にした。
扉を開け、中を見ると今の置かれて
いる状況が分かる。窓は1つしかなく
空気の通り道がないので、埃が溜まって
いる。掃除もされていない。恐る恐る
着物を見てみると、虫に食われていた。
(確かにこれじゃ、辞めたくもなるか)
恐らく、身分が高い方は1度行事で
着たものは着ない。しかし、捨てる
事は恐れ多いので保管しているのだろう。
これではこの倉庫の意味がないので
まずは手入れの仕方や保管方法を
皆に教えた。
するとある一人の女官が質問をしてきた。
「私達に、罰をお与えにならないの
ですか?」
「皆にきちんと聞いて欲しい。今までは
棒打ちなどの罰があったと聞いているが
私は、それを一切しない。わざと失敗を
する者はいない。しかし、気は抜かない
ように。あと今日から一人ずつ、私の部屋
に来るように。名前と顔を覚えたい」
「感謝します。女官7位様」
最初は全員が緊急していたが、この話を
した後は表情が軟らかくなっていた。
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