13 / 34

「帝に拝謁いたします」 「顔を上げよ」 帝の顔は絵で見たことがあるが本物を 見たことはなかった。心臓が飛び出そう になった。こんなに綺麗な人が世の中に いるのかと思ったほどだった。 「採寸いたします」 採寸をしている間、ずっと帝に 見られている。 (何でこんなに見てるのだろう) 緊張しながら採寸していると話 かけられた。 「そなた、谷川亮と言ったな。  性別は何だ」 「はい。オメガです」 「・・そうか」 少しの間が気になるが、採寸を終え 屋敷を出ようとしたその時 「待ってくれ、少し話がしたい。  美香先に出てくれ、誠もだ」 帝は監視をしている人も外に出した。 「亮、そなたは・・好きな人は  いるのか」 「えっ、いえ。そのような人は  おりません」 「そ、そうか。これからも仕事を  頑張ってくれ」 握られた手が離れてしまう。寂しいと 思っている自分がいる。外に出ると 美香様が立っていた。

ともだちにシェアしよう!