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帝
「帝に拝謁いたします」
「顔を上げよ」
帝の顔は絵で見たことがあるが本物を
見たことはなかった。心臓が飛び出そう
になった。こんなに綺麗な人が世の中に
いるのかと思ったほどだった。
「採寸いたします」
採寸をしている間、ずっと帝に
見られている。
(何でこんなに見てるのだろう)
緊張しながら採寸していると話
かけられた。
「そなた、谷川亮と言ったな。
性別は何だ」
「はい。オメガです」
「・・そうか」
少しの間が気になるが、採寸を終え
屋敷を出ようとしたその時
「待ってくれ、少し話がしたい。
美香先に出てくれ、誠もだ」
帝は監視をしている人も外に出した。
「亮、そなたは・・好きな人は
いるのか」
「えっ、いえ。そのような人は
おりません」
「そ、そうか。これからも仕事を
頑張ってくれ」
握られた手が離れてしまう。寂しいと
思っている自分がいる。外に出ると
美香様が立っていた。
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