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壱がめでたく出産した。 生まれてきた赤子は二人。 双子だった。 小彼岸の血を受け継ぐ子と。 物の怪の血を受け継ぐ子と。 「あの子が欲しい」 月夜に嵐の如き花いちもんめ。 手練れ揃う家来衆を引き連れて物の怪の長、月喰らいの金鬼がまたも結界を破って小彼岸家を訪れた。 暴れ狂った果て。 金鬼は赤子の一人を連れ去ってしまった。 よりによって小彼岸の血を受け継ぐ子を。 「おのこはらみ」が子を孕めるのは一度だけ。 小彼岸家に残されたのは物の怪の血を受け継ぐ子。 一族きっての冷酷と謳われる当主の宮比は。 「修羅丸、よしよし、いないいないばぁ」 母である壱や息子たちも戸惑うほどにその赤子を溺愛した。 肌に縞模様が走る赤子は宮比の腕の中できゃっきゃと笑う。 お乳を飲もうと宮比の胸を弄ったりしてくる。 宮比は物の怪赤子、修羅丸(しゅらまる)の仕草一つ一つにその端整な顔を柔らかく綻ばせた。 「……お父様のあんな顔、見た事ない」 「親父のことだから、てっきり、ばっさり……なーんて」 「二朗兄、やめなよ……でも俺もぶっちゃけそう思った」 ぷにぷにした頬に頬擦りする宮比の姿に息子たちは顔を見合わせるのだった。 一方、物の怪屋敷では。 「わぁぁ~かわいいでしゅ」 「わぁぁ、うまそぉ……じゃない、かわいいねぇ、でもこれ、小彼岸の……?」 それは見目麗しい赤子を交代で抱っこしあう中凶と小凶。 人型金鬼はタバコを取り出し、頷く。 「粋な花いちもんめだろ、名前は朱色だ」 「しゅいろ、へぇぇ」 「金鬼様、タバコは赤ちゃんに毒でしゅ」 すかさず小凶に言われた金鬼、歌舞伎者が羽織るような色鮮やかな上衣に覆われた肩を竦め、縁側へと去っていった。 x年後 四季の草木彩る立派な庭園に月光が差す。 池の中をたゆたう錦鯉の鱗が昼よりも美しく煌めく。 縁側に面する障子はいつにもましてほの白く、薄闇に慎ましく浮かび上がっていた。 「宮比、そこ、もっと」 「ん……ここですか?」 浴衣をしどけなく乱した宮比の伸ばした舌が隆々と反り立つ肉棒の天辺を這う。 ぬちゅぬちゅ、くちゅくちゅと、剥け切ってつるりとした亀頭を満遍なく舐め回す。 「あ……きもちいい……」 小彼岸当主のご奉仕を一身に浴びているのは修羅丸だった。 少年と男の中間にあたる伸びやかな成長途中の体つきでありながらも、股間にそびえる男根は大人顔負けだ。 黄金色の髪を鎖骨まで伸ばし、全身には幼少時よりも濃くなった縞模様、鋭い双眸は黒々としている。 今は素っ裸の修羅丸は布団の上に座り込んで伸びをするように上を向き、とろんと気持ちよさそうにしていた。 「……もっと奥までして?」 世継ぎの我侭を宮比は即座に聞いてやる。 相当な年齢差があるようにはとても見えない、青年の如き瑞々しい若さを保っているのは宮比のみならず、代々物の怪と戦い続けている小彼岸一族の特権でもある。 「あ」 宮比は喉奥の窄まりまで修羅丸の肉棒を招いてやった。 まるっとした睾丸をゆっくり揉みつつ強めに吸い上げる。 「ああ……それ、もっと……して」 まだあどけなさ残る顔立ちに甘えを添えて修羅丸は宮比に強請った。 上目遣いに彼を見上げていた宮比は、胸の奥底で、じわりと昔懐かしい昂ぶりが宿るのを感じた。 ……遠い昔の残滓だと、宮比は、割り切る。 苦味ある精液を宮比の口腔に放っても尚、若いペニスは青筋を走らせて硬く勃起したまま。 そして修羅丸はまた宮比に強請るのだ。 「ね、宮比……おれ、宮比にこれ、いれたい」 「……」 「宮比の奥までこれで貫きたい」 しかし宮比はこのおねだりだけは拒否する。 彼は修羅丸を大胆に跨ぐと浴衣の合わせ目から突き出た自身のペニスを白い指で支えて。 ぐちゅりと若いペニスに擦りつけた。 「あ……やだ、宮比、いれたい」 「修羅丸、当主の命令です」 「おのこはらみから生まれたおれが一番えらいんじゃないの?」 「これで一緒に気持ちよくなりましょう?」 困ったように微笑んでみせてから、宮比は、兜合わせを始めた。 勃起肉同士が激しく擦れ合い、しとどに白濁蜜に濡れ塗れ、ぬちゃぬちゃと淫靡な音色が立つ。 宮比の綺麗な五指で共にしごかれると修羅丸は控え目ながらも獣の鳴き声を上げ、浴衣越しにかたちのいい尻を掴み、揺さぶった。 頭の中では宮比を犯していた。 ひしめき合う豊潤な肉を一思いに抉じ開け、奥の奥まで刺し貫いて、淫らな熱を貪っていた。 「あ、宮比……またいく……!」 修羅丸の上擦った声音に、宮比は、そっと柔らかく微笑んだ……。

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