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雑踏で物の怪の気配を察した修羅丸は立ち止まった。 急に立ち止まったイケメンに通行人の視線は自然と吸い寄せられた。 天然ゴールドアッシュの髪は短く切られ、海外若手俳優のようなしなやかながらも逞しい体。 小彼岸家から通うよう指示された学校の制服である学ラン(着崩し風)がやばいくらい似合っている。 身長は百八十前半といったところか。 やけに黒々とした鋭い双眸が見つめる先には一人の少年がいた。 朱色だ。 こちらも同じく制服姿で、ダークブラウンのカーディガンにチェックのスラックス、ローファーを履いている。 男装女子と見間違われそうなほどに綺麗に整った顔立ち。 さらさらと風もないのに髪が靡いている。 「宮比」 「金鬼様」 二人は思わず焦がれる相手の名を呼んだ。 いや、でも、違う。 彼は彼じゃあない。 でも、なぜ、なぜ。 こうも似ているの? 「お前」 「……あなたは」 歩み寄った修羅丸と朱色は想い人からかつて聞かされた話をそれぞれ思い出していた。 自分には片割れが存在すると。 「っち、修羅はどこ行きやがった、三吾?」 「雑踏だと俺の鼻機能しなくなるんだよ、二朗兄」 「あれー朱色っちはどこ? ちょっと目ぇ離した隙にいなくなっちゃった、やば」 「兄様が31パ割引だからってアイスを食い過ぎたせいでしゅ」 修羅丸の付き添いとして昔懐かしい制服を着てご丁寧に学校にまで登校している小彼岸兄弟。 こちらも付き添いとして制服をそれなりに着こなした中凶とぽてぽて歩く小凶の烏天狗兄弟。 「「「「あ」」」」 まさかの邂逅に四人は揃って棒立ちとなったのだった。

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