12 / 19
6-2
片割れなのに自分とはまるで似ていない、血を分かち合う二人は。
夢中で繰り返した。
一番近くにあったラブホ、目に止まった部屋、キーを受け取って転がり込むなり。
「は……ッはぁ……ッ」
「んふぅぅ……ッ……ふぁ、ぁッ」
その呼吸を確かめ合うかのように深く深くキスする。
もどかしげに服を脱ぎ、脱がせて、隙間なく肌と肌を重ね合わせて。
修羅丸は奥の奥まで刺し貫いて。
朱色は胸を高鳴らせた。
「あ……うそ、すごいな……これ……」
予想を上回るアナルのきつさ、せめぎ合う肉膜内の容赦ない締めつけに修羅丸はグルルと唸った。
「おのこはらみ」から産まれた彼は獣化には至らないものの時に物の怪の片鱗をちらつかせる。
あまりの締めつけに動くに動けず、特大ベッドに肘を突かせ、一先ず深呼吸。
「ぁ……すごぃ……あなたのだって……」
大きく両足を開かせた朱色はそっと自身の腹を撫でた。
「ぼくのお腹の底で……いっぱぃ……どくどくって、してる……」
「……おれ……初めて……」
「…………ぇ?」
「……いれるの……初めて」
「…………ぼくも……いれられるの……初めて」
宮比と金鬼にそれぞれ散々焦らされてきた二人。
その鬱積を晴らすように、やがて、激しく動き出す。
「はぁぁぅぅ………ぃぃ……お尻きもちぃぃのぉ……」
薄紅肉茎をひくひくさせて朱色は胸を反らした。
両足を修羅丸の腰に絡みつかせ、自ら揺すったり、腰を押しつけてきたりする。
修羅丸はずきずきするほど硬くなっているズル剥けペニスで朱色の肉壷底を掻き回した。
「ゃぁぁん……奥ぅ……おちんぽで叩かれるの、ぃぃ……」
「……おれも……お前の奥、すごく、いい……」
「ぁぁ……ん……ね、な……まぇは?」
「修羅丸……」
「ぼく、朱色……ぁっそこ、もっとぉ……」
「ここ?」
「ぁっぁっぁっ」
朱色は修羅丸にぎゅっとしがみついた。
普段は消えている縞模様が浮かび上がった体に擦り寄り、自身の薄紅を腹筋に擦りつけ、先走りを塗りつける。
「修羅丸……いっしょに……ね?」
「……わかった、朱色」
湯気の仄かに漂うバスルーム。
お湯を溜めたバスタブの中で修羅丸と朱色はまだ交わり中だった。
バスタブ縁に両手を突いた朱色の腰を支え、背後から。
さっきベッドで中出ししたばかりでとろとろに蕩けた肉穴を突きまくる。
「ぁん……ぃく……ぃくぅ……ぃっちゃぅぅ……」
突き出した尻をぷるぷるぞくぞくさせて、朱色は、きゅっと唇を噛み締めた。
正面に伸びてきた手が胸をまさぐり、探り当てられた乳首を指の腹でくにくに転がされると、また甘い声を放つ。
「ぁぁぁぁ……ん……」
「朱色……また……なか、いい?」
「ん、ぃぃよ……また奥にほしぃ、修羅丸の」
あの人はこんな言葉を絶対に言わない。
でも、この唯一の片割れは共鳴してくれる。
まっすぐな欲望を繋ぎ合わせてくれる。
濡れた体のままベッドに戻った二人は休むことなくまた体を重ねた。
対面座位でキスを繰り返しながら互いに律動する。
みちみちと収縮する肉粘膜で勃起しっぱなしのペニスをがむしゃらにしごかせ、こびりついた精液汁をぐちゅぶちゅ泡立てる。
「らめぇ……これ、よすぎて……修羅丸ぅ……」
唾液で潤う唇を舐めていたら朱色が感極まる余り涙を流した。
宮比の泣き顔を見たことがない修羅丸は、じっと、思わず見入ってしまう。
ああ、そう、これはおれの片割れ。
か弱い愛らしいおれだけの小彼岸。
「……修羅丸ぅ……止まっちゃ、やぁぁ……」
「あ、ごめん……」
修羅丸は朱色を抱え直すと中断していた律動を再開した。
朱色はさらに力をこめて、ぎゅっと修羅丸にしがみつく。
「修羅丸ぅ……好きぃ……」
「うん、おれも……」
双子は隙間なく重なり合うと絶頂の一瞬を何度も共有した。
その頃、同ホテルの一室にて。
「あぁぁんっニンゲンちんぽさいっこぉぉ~」
「……うっせぇよ、クソビッチ」
「はにゃぁぁ……この前より……きもちいいれしゅ」
「この前って、もう随分前だよ、小凶君……」
同じベッドで仰向けに寝そべった小彼岸兄弟にそれぞれ乗っかる烏天狗兄弟。
四人分の不埒な揺れにベッドはぎしぎしぎしぎし悲鳴を上げ続けるのだった。
「面白ぇこと教えてやろうか、おのこはらみ?」
「私はもうおのこはらみではありません、大凶くん」
小彼岸邸、日当たりのいい縁側にて。
大凶に膝枕してやっていた壱はのんびりお茶を飲んでいた。
「宮比サマの秘密、聞きたくねぇか?」
ともだちにシェアしよう!