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8-3
乱れていた浴衣を雑に脱がして全裸にした宮比を布団にうつ伏せにすると。
金鬼は腰から下を密着させた。
間もなくして規則的に打ち鳴らされる白い双丘。
片頬を布団に押しつけて喘ぐ宮比の傍らに両手を突き、金鬼は切れ味をきかせて腰だけを前後に動かす。
身の内からはしたない音色が零れ出る。
精液で濡れそぼつ肛道は滑りがよくなり、思いがけないほどに深いところまで金鬼のイチモツを招く。
宮比はその冴え冴えとした顔を無防備に弛緩させた。
ぱんぱんと勢いよく尻を鳴らされ、過剰なくらい全身を痙攣させ、肉壁を焦がしそうな金鬼の熱塊を肛穴の奥底で痛感しながら……。
「…………ミヤビ、お前」
急に肉壁の圧迫感が増したかと思うと奥がきゅぅぅぅっと収縮した。
そのまま食い千切られてしまうのでは、と危ぶむほどの締めつけ。
金鬼は片眉だけを器用に吊り上げた。
「いったのか?」
宮比は答えない。
ただ不規則に紡がれる吐息だけが返ってくる。
「…………あッッ」
金鬼は発熱した宮比の体をぐるりと仰向けにした。
挿入されたままの肉棒が奥をぐちゅりと擦り上げ、宮比は、首を窄める。
白濁蜜に潤う薄紅のペニスはまだひくひくと震えて尿道口をさらに精液で浸そうとしていた。
愉悦した金鬼は松葉崩しの体位で両足の間に割って入る。
奥底に亀頭を強めに押し当て、ぐりぐりごりごり引っ掻くのと同時に、達したばかりでより敏感となっている宮比の肉茎を満遍なくしごいた。
「んぁ……ッ……は」
「あの冷酷な蛇繰りがこんなにも濡れるなんてな」
カリ首を親指の腹でなぞり、膨張しきった亀頭を絡みつく白濁汁ごと掌で握り締め、やんわり揉みしだく。
「気持ちよさそうに締まってやがる」
そう言って、前立腺付近もごりごり削るように腰を突き動かす。
「ぁ……! ぁ……!」
金鬼が繰り出す一つ一つの行為に反応を示す宮比。
ようやく手に入れたと、金鬼はまた満足感で腹を膨らませる。
「すっかり俺に馴染んだな、ミヤビ?」
そう言ってやれば。
宮比は薄目がちながらも眼鏡越しに金鬼を見、微かに、笑った。
「……違うぞ、金鬼」
「なにがだ」
「お前が私に……馴染んだのさ」
お前が私のものになったんだ。
乱れた前髪かかるレンズ奥の双眸と視線を交えていたら金鬼は金縛りじみた束縛感に囚われた。
一瞬だけ呼吸も忘れてそれに魅入られる。
さすが俺が惚れ込んだニンゲン、喰えない輩だ、オヒガンミヤビめ。
「それならとことんお前に喰われてやろうじゃねぇか、ミヤビ」
金鬼はまた速やかに体位を変えた。
軽々と抱き上げて背面座位にし、膝裏に手を回すと大胆に開脚させ、真下から凄まじい速度で宮比を突き上げる。
「ぁ……深、ぃ……んんッ」
「お前の奥の奥まで馴染ませてくれよ?」
「は……ッ、かなお、に……ッ」
「積年の恨み、受け取りやがれ」
仰け反った宮比に金鬼は口づけた。
荒ぶるように肉茎を深奥まで打ちつけ、宮比自身も絶え間なく揺らし、色めく唇に耽溺する。
宮比はうっすら目を開けて金鬼と視線を繋げたまま、舌先同士も濃密に繋ぎ合わせた。
行灯の明かりが落ちた薄闇に途切れることなく鼓動する欲望。
「もっと私がほしい?」
「ああ」
花いちもんめはやっと終わりを迎えた。
物の怪屋敷に朝は来ない。
永遠に宵を繰り返すばかり。
おかげで時間の経過がまるでわからず、宮比は、とうとう痺れを切らす。
「積年の恨みを晴らすにはまだ足りねぇぞ、ミヤビ?」
「う……ッるさい、うるさい!! いい加減休ませろ!!」
「まだたった三日しか経ってねぇぞ」
三日と聞いてさすがに青ざめた宮比。
喚かれても少しも応えていない金鬼、素知らぬ顔で唇痕だらけの背中に伸しかかろうとする。
「子がいなくとも俺様のムスコがありゃあ十分だろ?」
苛々しているところへ下ネタジョーク、それは、怒りの引き鉄に他ならない。
平然と覆いかぶさってくる金鬼に宮比は声を大にして言い放つ。
「そこを退け! この物の怪が!」
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