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朝、出社前のリーマンやら作業員やら男連中で賑わう駅前の牛丼屋。 「締めのラーメンは惹かれないけど。たまの朝にガッツリ肉、いいよなー」 「激務が予想できる日は特にね」 野宮と久世はカウンターで並んで牛丼を食べていた。 同じマンションに住んでいる、同年代で共通点が多い二人は付き合っている。 かつてないくらい相性抜群であり、出会った瞬間から至極良好な関係が始まっていた、ちなみに夜も絶好調ときていた。 『う、はぁ……っ久世サぁン……っ』 ちょいMでちょいぶきっちょな末っ子野宮。 『もういったの? ほんとにセックス弱いね、野宮さん』 S寄りで過激な欲を隠し持つ長男久世。 家族全員にカミングアウトしている野宮、母親と妹二人に伝えている久世、いつか彼らに紹介したいとちゃんと考えてもいる二十八歳、二十七歳だった。 「金曜、部署忘年会かー」 「まさかどっちも同じ日にあるなんて」 「ホント。俺らってどこまで共通してんだろー」 「これからもっと追究していってみる?」 朝日が燦々と降り注ぐ店頭をたくさんの人々が忙しげに行き来する中、カウンターの片隅でこっそり何気にいちゃつく二人。 しかしまさか予測もしていなかった。 「野宮ー、俺にもお酌してくれよ」 「久世さん、取り分けますよー、嫌いなモノってあります?」 忘年会が同じ店で行われるとは。 しかも職場全体ではなく部署限定で少人数のためざっくり大座敷テーブル予約、それが隣り合うなんて、なんという偶然……。 それから四時間後。 「あ……っ、やっぱ、これちょっと……あ、ッ、ぅ」 野宮と久世は野宮宅にいた。 ワイシャツにスラックスを緩めた姿で布団を払いのけたベッドにINしていた。 「怖い、かも……っ」 「怖い?」 二人の衣類や髪から乾燥した空気へアルコールとタバコの匂いが強く漂う。 「野宮さん、怖いと勃つんだ……?」

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