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昔の事

「あー、うん。…でも、10年近く会って無いけどな。」 「確かに。誠、昔はちっちゃくて可愛かったもんな。」 10年も前の事でそんなに覚えてないが、中性的な顔だっただけで可愛くは無かったと思う。 ていうか、皆に女々しいって言われてた気がする。 女っぽい顔のせいで、いじめられてた事もあったな。その時は成一が助けてくれたけど。 昔の些細な思い出が蘇り思わず笑みがこぼれた。 「成一は、女子にめっちゃ告白されてたよな。」 「あー、そうだったかもな」 成一は、あまり興味がなさそうに答えた。 昔の成一はわんぱく少年で笑顔が可愛い子だった。足が速くて、女子にモテて、大人に可愛がられて、俺はいつもその背中を追いかけていた。 成一と二人で思い出に浸っている中、ついていけてない奴が一人… 「…ちょっと!ちょっと!二人で盛り上がんな!俺も混ぜろー」 ダンッと机に手をついた勇人は、ズイッと俺と成一の間に顔を突き出し、大声で叫ぶ。 その様子があまりに子供っぽく、俺と成一は吹き出した。

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