6 / 20
6
シャワーの方に手招きされた。浴槽から出ると、一気に腕を掴まれて引き寄せられる。
頭を胸板に打ち付けられて、さすがに驚いた。
「痛ぇよ、急に引っ張んな」
「悪いな、せっかちなんだ」
本当にせっかちみたいで、かぶりつくようなキスはいきなりディープ。息継ぎするタイミングを逃して、苦しさのまま胸板を殴る。唇を離されると、大げさに咳き込んでやった。
「ハハハ、悪い悪い」
口先だけで本当に謝る気もなさそうだ。
「この刺青はどこまで入ってる?なんのデザインだ?」
今度は俺の片腕を掴んで、強引に持ち上げる。一応昇り竜のデザインなんだけど、知ってか知らずか竜の背骨に沿って舌を這わされる。くすぐったい。
「脇はやめて、マジでくすぐったいから」
「そう言われるとやりたくなる」
「悪いけど、やられたらその立派なモン蹴っ飛ばすよ」
早口で言うとやっと離れた。
「コイツの威力を発揮する前に使い物にならなくされたら困る」
ブツはすでに使い物になる状態。ピクリとも反応してない俺のとは対象的だった。
「せっかち過ぎじゃね?なんでもうそんななの?」
「だから、好みだと言っただろ。好みの男とヤれると思うとゾクゾクするもんさ。お前だってそうだろう?」
好みの女とならそうかもしれない。男からそういう目で見られたことはないから、なんとも言えない心地だった。
ともだちにシェアしよう!