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第9話
家に着いた時、優の様子がおかしかった。
彼の家庭は交通事故により崩壊してしまった。そのショックから、二重人格になってしまった。本人も気づいていない、俺だけが知る事実
女顔、可愛い、綺麗……
容姿にまつわる、特に "美しさ" に関係する褒め言葉が、優は大嫌いだった。
あの日、ナンパされた時に限界がきて、ついに殺人を犯してしまった優…。
俺といるときは時々彼のもう一人の人格、仮に
"シロ" と名付けよう。シロは俺に甘えたり怒ったり、思いっきり泣きついてきたりと、感情を爆発させることがあった。
しばらく無かったから、落ち着いたとばかり思っていたが、シロすら現れることが出来ないほど、追い詰められていたとは思わなかった…。
「いち、話があるの…」
「なに?」
「僕、いちのことが恋愛的な意味で好きなの…僕と付き合ってくれませんか?」
これ以上彼を苦しめたくなくて、また俺も苦しみたくなくて、お互いに依存していると理解した上で交際を始めたのだった……
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