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第7話
「わかった、大声出さないカラァ」
酒臭い息を吐いてくる。んふふと鼻で笑っている。
仰向けで脚だけベッドから落ちてる変な体勢に耐えかねて、振り切って起き上がる。
「おいコラ、何してんだ」
「怒んないで下さいよ、いや本当まじで、ただ単にさびしーだけだから!」
「寂しいからってなぁ、人を簡単に巻き添えにすんじゃねぇよ」
と言いながら、かつて寂しいが講じて高級ホテルにお持ち帰りされたのを思い出した。
こいつにどうこう言う権利は、その時点ですでに消失していたに等しい。
「これこそ、ほら、連絡先聞いてるネェちゃん達でも呼べばいいだろ」
ちょっと動揺しながら、もっともらしいことを言う。我ながらズルイなと思いながら。
しかし、奴の言うことというのは、本当に想定外だった。
「ダメっすよ、恥ずかしいもん!」
あんだけ連絡先聞いといて何言ってんだこいつは。
「恥ずかしいだぁ?意味わかんねぇよ」
目をひん剥く。
こんなとこにいるんだから、女の子でも引っ掛けたら一晩中人肌に触ってられるだろうに。
急にピュアぶって今更なんなんだ。
「あのね、俺……あのー」
ピュアぶった言動はまだ続く。
腕組みをしてベッドサイドに立つ俺に、意を決したみたいな顔をして見せると、起き上がって正面に立った。
トイレでも我慢してんのかな。そう思うほどモジモジしている。
口を開いた野郎は、トイレどころではないとんでもないことを言い放った。
「俺、実は童貞…なの」
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