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第8話
「はぁあああ?」
こんなにハッキリと、腹の底から「はぁ?」なんて言ったことはない。真似たところでもう2度と出来ないと思う。
「童貞っ?嘘だろ、お前がっ?」
畳み掛けるように聞けば、でかい図体して恥ずかしそうに頷いている。
突然チャラ男に降臨したチェリーボーイに、頭がついていかない。中学とか高校の時点でさっさと捨ててそうなもんなのに。
人は見た目がウンタラカンタラとはよく言うものの、あまりのギャップに変な汗をかいた。
「だからぁ、女の子に童貞ってバレたら恥ずかしいじゃないっすかぁ…」
「バレたらって…。じゃあ今まで連絡先聞いてた女の子とは、みんな全然そういうことなかったってことかよ?」
「ないない!マジでガチの飲み友とかソフレとか」
「ソフレいるならそっからセフレにでもなればいいだろうが」
「えーっ、無理無理!あり得ないでしょ!だって兄さん友達襲う!?」
「なし崩しでそうなるパターンも結構あるだろ」
「マジー!?ちょ、あり得ない兄さん、ただのケダモノじゃん」
「いや普通だって」
このナリで奥手とは。それとも、最近の子ってみんなこんな感じなんだろうか。
それにしても、何でそんな大暴露を今俺にしたんだか。
疑問はすぐに解消された。
「ねぇだから兄さん!お願い!」
でかい図体を折り曲げて、俺の前に膝をつく。仏像拝むみたいに両手を合わせていた。
何してんだというより先に、奴は懇願して来た。
「兄さんで童貞捨てさせて!」
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